2021-01-01から1年間の記事一覧

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第6章を読んだ感想~蘇軾は中国のロビンソン・クルーソー?~

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第6章を読了しました。 前回の記事で、蘇軾が黄州での事実上の流刑生活を終えたことについて、ロビンソンクルーソーが無人島からの脱出に成功したときのように名残惜しいと感想を述べました。 ところが、今度は本当…

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第5章を読んだ感想~蘇軾、何もない台所から中央政界へカムバックする~

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第5章を読了しました。 蘇軾に好感の持てる理由の一つは、彼が東坡肉(トンポーロー、豚肉の角煮)を考案したことからもわかるように、飲食に対するこだわりがあり、それが作品にも生かされているからです。飲食の…

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第4章を読んだ感想~黄州で何もない台所に立つクッキングパパ蘇軾~

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第4章を読了しました。 蘇軾の黄州(現在の湖北省黄岡県)での左遷生活について記述されています。水部員外郎という肩書で、給料はほんのわずか。実態は流刑の身です。三男七女と二人の女婿という大家族なので、当…

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第3章を読んだ感想~宋のお国柄に命拾いした蘇軾?~

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第3章を読了。 第3章では、蘇軾が詩や詞の創作に励んだ杭州赴任時代、太守に着任早々に発生した洪水災害を勝手に禁軍を動かす荒業で乗り切った徐州赴任時代、そして詩の中で新法党を批判したことで獄につながれた…

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第2章を読んだ感想~怖いほど似てる宋と戦後日本~

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)の第2章を読了。 第2章では主に、蘇軾に関することというよりは、高校世界史でも習う新法と呼ばれる王安石による急進的な改革について記述されています。 まず章冒頭で、評論家の堺屋太一氏による宋と戦後日本の類似…

『蘇軾 その詩と人生』(海江田万里著)1章を読んだ感想~自民党のあの大物政治家も蘇軾の詩を愛読していた?~

『蘇軾 その詩と人生』という中国の北宋時代の詩人、蘇軾(そしょく)の伝記の第1章を読了しました。 蘇軾の詩が好きで、とにかく彼のことが知りたいと思い、Amazonで見つけたのが本書です。ただタイトルだけを見て購入したのですが、なんと、よく見れば著…

論語と孔子のトリセツ『孔子』by金谷治を読んでみた感想。

中国哲学専門の東洋学者、金谷治氏の『孔子』(講談社学術文庫)を読了しました。孔子の思想や生涯、彼の生きた時代背景などがまとまっています。いわば『論語』と孔子のトリセツ(取扱い説明書)です。 江戸時代の日本の儒学者、伊藤仁斎(いとうじんさい)…