『図解 気象学入門』を気象予報士試験対策として読み進めています。
今日は、P234~240の台風の発生について書かれた部分を読みました。ここに自分なりの理解をまとめておきます。
海水温が高いと台風が発達しやすいというイメージを持っている人は多いかもしれません。
実際、台風と海水温の関係は深いです。
以下の図は、台風やそれと同じ性質の現象であるハリケーンなどが発生する地域を示したものです。
(『図解 気象学入門』P235より)
一方、次の図は、海水温の高い海域を示したものです。(7月の海面水温の平均分布)
(同書P236より)
以上の二つの図を比べてみると、海面水温の高い地域と台風やハリケーンの発生地域が大方一致していることがわかります。
では、海面水温の高さはどのようにして台風の発生につながっていくのでしょうか?
海面の温度が高いと、その付近の空気が暖かく湿ったものとなります。
暖かく湿った空気は軽いので、ちょっとしたきっかけで上昇を始めます。
空気は上昇すると気圧の低下によって膨張し、温度が下がります(空気分子の運動エネルギーが膨張のために使われるため)。
温度が下がると、含むことのできる水蒸気の量が減るので、含みきれなくなった水蒸気が凝結(気体から液体への変化)し始めます。
こうして雲は形成されていきます。(雲は水蒸気ではなく、水や氷の粒の集まり)
で、上の図の海面水温の高い地域で空気が上昇するきっかけとなるのが、南北から赤道を挟み込むように吹いてくる風です。
この風が集まってくる帯状の地帯を熱帯収束帯(ねったいしゅうそくたい)と呼びました。
熱帯収束帯について詳しくは以下の記事で書いています。
・赤道低圧帯(熱帯収束帯)とは?超わかりやすく簡単に解説!~赤道低圧帯の上昇気流はサハラ砂漠、貿易風、偏西風の生みの親?~
風が南北から集まってくることで空気が強制的に持ち上げられ、その上昇が始まります。
そうして次々と積乱雲が形成され、それらが集まったものはクラウドクラスターと呼ばれます。
熱帯低気圧の一種である台風は、主にこのクラウドクラスターから生まれます。
クラウドクラスターを構成する各積乱雲から発生する凝結熱(気体が液体に変わるとき、すなわち凝結するときに放出される熱)が上空に蓄積することで、そこの空気が暖まって膨張し、地上の気圧が下がります。
この辺りの気圧変化の理屈がわかりにくいと思った方は、以下の記事を読むことをおすすめします。
気圧差が生じる原理が超わかりやすく簡単に解説された『図解 気象学入門』~温度差が気圧差を生み、気圧差で風が吹く?~
地上気圧が下がると、そこへ回りから空気が流れ込み、それがコリオリ力によって右に曲げられることで反時計回りに吹き込むようになります。
コリオリ力については以下の記事で詳しく解説しています。
コリオリ力の考え方を超わかりやすく簡単に解説!~北半球では風は右向きに曲げられる?~
これが、台風(熱帯低気圧)の発生です。