『イラスト図解 よくわかる気象学』を使って気象予報士試験対策をしています。
コリオリ力について勉強したので、自分なりの理解をここにまとめておこうと思います。
中学校の理科の授業では、風は高気圧から低気圧に向かって吹くと教えられました。
自分もそれを信じて理科の苦手な人なんかに「風は高気圧から低気圧に向かって吹くから…」などと足を組んでドヤ顔で語っていたのですが、実は風はそんな単純なものではありませんでした。
実は、現実の風は、コリオリ力というものによって、日本の位置する北半球では右に曲げられるというのです。
中学生だった我々は大人たちに、「坊ちゃん嬢ちゃんみたいな子供にはコリオリ力のような高尚な概念は理解できんやろう」ということで現実の複雑さを隠ぺいされていたのです。
悔しくないですか?
悔しいですよね、だから今日はコリオリ力を理解してもっと風の真実に近づきましょう。(前置き長いねん!)
コリオリ力とは?
コリオリ力というのは、一言でいうと、地球の自転による見せかけの力です。
「見せかけ」というのポイントです。
例えば、おばさんたちはよく、写真を撮られるとき、無意識に45度くらい体を傾けてスリムな体型に見えるようにします。
それを見て、「スタイルええですなあ!」と絶賛するおじさんは少ないでしょう。
なぜなら、体を傾けることによって見かけ上スリムな体型になっていることを知っているからです。
コリオリ力というのはこういう、普通のおばさんでもみな経験的に理解し行使している力と同じようなものなのです。
高気圧から低気圧に向かって吹くといわれる風は現実には、北半球なら右に曲げられると先に書きました。
これも厳密に言えば、見かけ上、右に曲げられるということです。
おばさんが体を傾けるなら、地球は自転します。
そのため、風は右に曲げられたかのように思われます。
メリーゴーランドで理解するコリオリ力
メリーゴーランドを想像してみましょう。
このメリーゴーランドは反時計回りに回転するものです。
これにあなたは乗っているのですが、メリーゴーランドが動き出した直後は、風は真正面から吹きつけています。
ところが90度(時計の針でいえば15分ぶん)進んだところまで回転すると、どうでしょう?
なんと初めは真正面から吹いていた風が、右側から吹きつけているではないですか!
これは風の吹く向きが変わったのではありませんね。
あなたの位置が変わったことによって風向きが変わったように思われるのです。
そのことを風の立場から想像してみてください。
あなたはいま風になって、動き始めたばかりのメリーゴーランドに乗っている人の顔に向かって正面から吹いています。
ところがメリーゴーランドは反時計回りに回転しているので、乗っている人の位置が変わり、いつのまにかその人の右側の頬に向かって吹いています。
さっきまで顔の正面に向かって吹いていたのに、いつのまにか右頬に向かって吹いているのです。
これはあたかも風としての自分が、右に折れ曲がったかのようです。
この見かけ上の右に曲げられる力が、コリオリ力です。
メリーゴーランドは自転する地球であり、風はその地球上に吹いているものでした。
ちなみにこの例は、日本の位置する北半球を想定したものです。
地球は、北極の真上から見ると、反時計周りに自転しています。半時計周りに回転しているからこそ、風は右に曲げられたんですね。
南半球ではコリオリ力は左向きに働く
一方、南半球では風は左に曲げられます。
南極の真上から見ると、地球は時計回りに自転しているからです。
今度は、時計回りに回転するメリーゴーランドを想像してみましょう。
さっきと同じく、初めはあなたの真正面から風が吹きつけています。
ところが時計回りに90度回転したときには、風はあなたの左側から吹いてきています。
これも、あなたの位置が変わったことによって、風向きが変わったように思われただけです。
同じく、風の立場になってみましょう。
最初、メリーゴーランドに乗っている人の顔に向かって真正面に吹いていたのに、いつのまにかその人の左頬に向かって吹いています。
あたかもあなた(風)が左に折れ曲がったかのようです。
以上より、北半球ではコリオリ力は右向きに、南半球では左向きに働くことがわかると思います。
中学校では風は高気圧から低気圧に向かって吹くと教わりました。
しかし現実には、写真撮影でおばさんが体を傾けることで生まれるようなマジカルな力で、風は右側や左側に曲げられていたのです。
確かにこんなマジックを使う必要がないそのままでマジカルで奇跡な中学生が、コリオリ力を理解するのは難しいですね!