『イラスト図解 よくわかる気象学』(中島俊夫著)を使って気象予報士試験の対策をしています。
今回は、乾燥断熱変化では温位と相当温位が保存量であることについて学びました。
この記事でも簡単には説明しますが、これについては、乾燥断熱変化、温位、相当温位などの知識が前提となります。
なので、もしまだ知識があやふやな場合は、以下の記事を先に読んでおくことをおすすめします。
・乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の違いを超わかりやすく解説【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記
・温位とは?超わかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記
・相当温位を超わかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記
乾燥断熱変化で温位が変化しない理由
まず「乾燥断熱変化で温位が変化しない」ということについて説明します。
これは一言でいえば、ある空気を乾燥断熱変化(100mにつき温度が1℃変化)で高度の上げ下げをしてもその温位は変化しない、ということです。
イメージ理解
これは考えてみれば当然のことで、まずはイメージで理解するといいです。
温位とは、ある空気を乾燥断熱変化で地上にもってきたときの温度を絶対温度にしたものです。
(絶対温度については以下の記事で解説しています)
日本一美味しい絶対温度(ケルビン)と摂氏の関係の覚え方【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記
これ(温位)は簡単に言えば、ある空気が「もし地上にあったら」の温度(正確には絶対温度)です。
90歳のお爺ちゃんと20歳のお兄さんのハンサム具合を比べるのが不公平なように、高度の違う空気の温度をそのまま比べるのはフェアではありません。
そこで、空気の温度を比べる場合は、「もし地上にあったら」の温度、つまり温位で比べます。
では例えば、ある90歳のお爺ちゃんが「もし20歳だったら」のハンサム具合と、まさに20歳時のそのお爺ちゃんのハンサム具合を比べると、どうでしょう?
当然、同じであるはずです。
数字で理解
と、お爺ちゃんの場合はこういった具合ですが、空気の場合は次のようになります。
温位(「もし地上にあったら」の温度)は、ある空気を乾燥断熱変化(100mにつき温度が1℃変化)で地上にもってきたときの温度を絶対温度にしたものです。
だから、例えば、地上(0m)の20℃の空気の温位は、293Kです(この場合空気はすでに地上にあるので乾燥断熱変化はなし。そのまま絶対温度に直すだけ)。
ではこの20℃の空気を乾燥断熱変化で高度1kmに引き上げたとします。
乾燥断熱変化で100mにつき1℃下がりますから、高度1kmでの温度は10℃になります。
さてこの10℃の空気の温位、つまり「もし地上にあったら」の空気の温度はいくらになるでしょうか?
温位の求め方に従い、再びこの空気を乾燥断熱変化で地上に引き下げると、20℃になり、その温度を絶対温度に直すと、293Kです。
最初に地上にあった空気の絶対温度293Kと一致、つまり乾燥断熱変化で空気を引き上げても温位は変化していないことがわかりました。
乾燥断熱変化で相当温位が変化しない理由
上に書いたことと、相当温位について理解していれば、乾燥断熱変化で相当温位が変化しないことを理解するのは簡単です。
相当温位とは、温位に、その空気に含まれる水蒸気がすべて凝結したときに放出される熱(潜熱)を加えたものです。
相当温位=温位+その空気に含まれる全水蒸気の潜熱
上で書いたように、乾燥断熱変化で温位は変化しません。そして、乾燥断熱変化では凝結(水蒸気が水滴に変わること)が起こらないので、その空気に含まれる水蒸気の量も変化しません。
そうすると当然、温位にその空気に含まれる全水蒸気の潜熱を足したものである相当温位も変わらないことになります。
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