湿潤断熱変化で温位が保存されない理由を超わかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】

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『イラスト図解 よくわかる気象学』(中島俊夫著)を使って気象予報士試験の対策をしています。

今回は、湿潤断熱変化では温位(「もし地上にあったら」の絶対温度)は保存されない(変化する)ということについて学びました。

前回の記事では、乾燥断熱変化では温位と相当温位が保存される(変化しない)ということについて書きました。

今回はそこから一歩踏み込んで、では湿潤断熱変化ではどうなのか、ということについて考えていきます。

湿潤断熱変化で温位が保存されない理由

前回の記事は以下になります。

乾燥断熱変化で温位と相当温位が変化しない理由をわかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記

この前回の記事で、ある温度および高度の空気を乾燥断熱変化で上げ下げしてもその温位は変化しないことがわかりました。

しかし、これは「乾燥断熱変化で」という条件付きです。

高度を上げ下げするときの温度変化の割合が乾燥断熱変化の割合(100mにつき1℃)であり、温位に直すときの温度変化の割合もそれと同じだったから、温位は保存されました。

しかし、もし高度を上げ下げするときの温度変化の割合が湿潤断熱変化の割合(100mにつき0.5℃)である場合は、温位は保存されません。

なぜなら、温位に直すときは、乾燥断熱変化の割合(100mにつき1℃)で温度が変化するからです。

イメージ理解

これは、例えば、車で移動するイメージをもっておくと理解しやすいです。

行きは時速40kmで1時間走って、帰りは同じルートで、時速80kmで1時間走ったとすると、元の位置に戻ることはできるでしょうか?

走る時間は同じなのに、時速は倍になっているので、元の位置よりはるかに行きすぎてしまうはずです。

数字で理解

湿潤断熱変化で温位が変化してしまう理由もこのイメージに似ています。

ある空気を湿潤断熱変化(100mにつき0.5℃変化)で上げ下げしているのに、温位に戻すときは乾燥断熱変化(100mにつき1℃変化)なので、その変化の割合の差が最終的な値の差につながります。

地上(0m)に20℃の空気があるとします。

この温位は、293Kです(地上にあるので乾燥断熱変化はなしで、そのまま絶対温度に直すだけ)。

これを湿潤断熱変化で高度1kmまで引き上げると、温度は15℃になります。

さて、この温位(「もし地上にあったら」の絶対温度)を求めるとどうなるでしょうか?

温位の求め方に従い、高度1km、15℃のこの空気を乾燥断熱変化で地上に下ろすと25℃になり、それを絶対温度に直す(273を足す)と298Kという値なります。

湿潤断熱変化の割合で空気を引き上げると5℃の温度変化がありましたが、温位を出すときは乾燥断熱変化なので10℃の温度変化です。

この差である5℃が、最終的な値である293Kと298Kの差(5K)につながっていますね。

このように「行き」は温度変化の割合が小さい湿潤断熱変化であるのに、「帰り」は温度変化の割合の大きい乾燥断熱変化なので、温位が保存されないのです。

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