『図解 気象学入門』を気象予報士試験対策として読み進めています。
今日は、台風のウォーム・コア(温暖核)について学びました。
ウォーム・コアとは、台風の中心の上空を中心にして広がる温度の高い部分のことです。
以下は、台風の縦方向の断面図です。
(『図解 気象学入門』P241より)
色が付いた部分がウォーム・コアです。
そのあたりに並ぶ10、15、10という数字は、温度を表したものです。
といっても普通の温度の数字ではなく、その高度における平均的な温度よりいくら高いかというのを表した数字です。
台風の中心の上空は15となっていて、特に暖かくなっていることがわかります。
では、この熱はどこから来たものなのでしょうか?
それは台風の目の周りの雲が形成され、その内部で生じた潜熱(せんねつ)に由来するものです。
潜熱とは、物質が、液体から気体、気体から液体などという風に状態が変化するときに出入りする熱のことです。
水蒸気が水滴に変化するとき、放出される熱のことを凝結熱(ぎょうけつねつ)といいます。
「雲が形成される」とは、この水蒸気が凝結して水滴に変わるということです。
台風の目の周りの雲の内部で生まれた大量の凝結熱が、ウォーム・コアを形成するのです。
ちなみに、凝結熱が大量発生した雲の内部を空気が暖められながら上昇し、それが台風の目に入り込んで断熱圧縮しながら下降することで、雲のない台風の目の中も暖められることになります。
そのため、上の図でも、中心の台風の目のところもウォーム・コアになっているわけですね。
ウォーム・コアにより暖かくなった気柱(大気を地上からてっぺんまで切り取った空気の柱)は膨張して軽くなり、地上の気圧は下がります。
このあたりの理屈については以下の記事を参考にしてください。
・気圧差が生じる原理が超わかりやすく簡単に解説された『図解 気象学入門』~温度差が気圧差を生み、気圧差で風が吹く?
こうして周囲との気圧差が生じ、地上天気図に見られる、台風の中心付近の混み合った等圧線が形成されるわけです。(等圧線が混み合っているということは、気圧の変化が激しいということ)