『イラスト図解 よくわかる気象学』を使って気象予報士試験対策をしています。
今日は地衡風について勉強したので、自分なりの理解をここにまとめておきます。
地衡風の読み方は、「ちこうふう」です。
地衡風とは、一言でいえば、気圧傾度力とコリオリ力がつり合っているときに吹く風のことです。
中学校の理科の授業では、風は高気圧から低気圧に向かって吹くと教わりました。
それは以下のように単純でわかりやすかったですね。
気圧傾度力(きあつけいどりょく)とは、気圧の差によって生じる力のことです。
気圧の高い方から低い方へ気圧傾度力が働くから、その方向に風が吹くわけです。
ところが、現実の風はそれほど単純ではなく、そこにコリオリ力というものが加わって、北半球では風は右に曲げられます。
コリオリ力とは、地球の自転によって生じる見せかけの力ですが、それについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
このコリオリ力は、日本の位置する北半球では風に対して直角右向きに働き、風速に比例して強くなります。
なので、吹き始めは弱かった風が徐々に強くなるにつれてコリオリ力は強まり、風は時計回りに向きを変えていきます。
このとき、気圧傾度力に関してはそのまま気圧の高い方から低い方へと働いています。
するとやがて、コリオリ力と気圧傾度力が相反する方向に働き、つり合うときが来ます。
そのときに吹く風が、地衡風です。
以下のイメージです。
時計でいえば、初めは12時の方向に吹いてた風は、コリオリ力によって時計回りに曲げられ、3時の方向で落ち着きました。
ちょうどT字を倒したようになっていますが、これが地衡風です。
自分は、風とそこに加わっている力の関係がぱっと思い浮かぶように、T字風と呼んでいます。
気圧傾度力とコリオリ力がつり合い、気圧の低い方を左手にして等圧線に対して平行に吹く風、それが地衡風。
ただ、付け加えておくと、これは北半球だからで、南半球ではコリオリ力は風に対して直角左向きに働くので、風は反時計周りに向きを変え、最終的に気圧の低い方を右手にして落ち着きます。
中学校で教わったように、単純に高気圧から低気圧に働く気圧傾度力と同じ方向に風が吹くなら理想的でしたよね。
そういう意味で、気圧傾度力を「理想の力」と仮に名付けると、現実世界で風という現象をより複雑にしている力、すなわちコリオリ力は「現実の力」です。
そうすると、地衡風というのは、理想の力と現実の力がつり合ったときに吹く風ということもできます。