社会人が気象学を勉強するのにおすすめの面白い入門書を紹介!気象予報士試験の受験を考えている初心者にも最適の本ですよ!

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気象学に興味が湧き、その勉強を始めようとする人に最適な一冊を挙げろといわれれば、どの本が思い浮かぶか?

僕の場合は、ブルーバックスの『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』です。

これまでに4回は通しで読んでいます。読めば読むほど理解が深まり、ますます気象および気象学に対する興味が強まります。

世の中には様々な学問があります。中でも気象学は「お天気」という私たちにとって非常に身近な現象を対象にした学問です。だから、身につければその知識を活用できる機会は少なくありません。

僕はこの本を読んで、湿度には相対湿度と絶対湿度の二つがあることを初めて知りました。これは高校の地学の授業で学ぶ事項ですが、地学は必須ではないし、文系コース出身だったので初耳でした。

私たちが普段「湿度」と呼んでいるのは、実は「相対湿度」というものらしいです。

相対湿度とは、その温度において空気が含むことのできる最大の水蒸気量に対してどれくらい水蒸気が含まれているか、その割合を示したものです。

空気は、温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができ、逆に温度が低いほど含むことのできる水蒸気は少なくなります。気温30度の空気が含むことのできる最大の水蒸気量を10とすると、6の水蒸気が含まれていれば、湿度は60%となります。

一方、絶対湿度とは、単純に単位空気あたりにどれくらいの量の水蒸気が含まれているかを示すものです。だから絶対湿度の単位は%ではなく、kgです。

AとBの二つの異なる温度の空気がある場合を考えてみます。

この場合、水蒸気の絶対量はBの方が多くても、Aの相対湿度が高いと、普通、Aの方がより湿っぽく感じられます。Aの方が含まれている水蒸気量が少ないにも関わらず、です。つまり、相対湿度の方が私たちの肌感覚に近いのです。(難しいと思った方は本書を読んでみてください)

この知識があってよかったと思ったのは、韓国の天気予報を見ていたときでした。

日本の天気予報では単に湿度と呼ぶことがほとんどですが、韓国の天気予報を見ていたときに、「相対湿度(상대습도)」という言葉が出てきたのです。

もし、気象学の基本的な知識を持っていなかったら、相対湿度って何だろう、とちょっと混乱していただろうと思います。

他にも、本書を読めば、なぜ夏に打ち水をすれば涼しくなるのか、なぜ冬は窓に露が生じやすいのか、といったことについても科学的な説明ができるようになります。

数式はほぼないので、中学生でも読んで理解できるだろうと思います。難しい事項に関しても、たとえを使って非常にわかりやすく解説されています。

社会人だと、家で腰を据えてじっくり勉強をする時間を取るのが難しいかもしれませんが、本書は(満員電車でなければ)通勤電車内でも気軽に読めます。

とはいっても、扱われている内容は割と高度で、教養としては必要十分な知識を得られるでしょう。

最後にお気に入りの箇所の一つを引用しておきます。

しかし別の場所では、サーマルから新たな積雲ができます。雲ひとつひとつの寿命は短く、せいぜい数十分。空に雲がたくさん浮かんでいる風景は、くり返される生成と消滅の一場面なのです。

『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』P41より)