華流ドラマ『蘭陵王』第5話の感想と豆知識~雪舞と高長恭が流れ星に願ったこと~

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第5話を観終えました。

高長恭が救い出した斛律須達(こくりつすだつ)。軍令を破るし、気性が荒いし、負傷して風前のともしびとなってもどうも同情できなかったところで、高長恭が小さい頃、少年須達にいじめからかばってもらうシーンが挿入され、無理やり同情をあおられた気分になったのは秘密です。

ベタだけどカッコいい演出

尉遅迥(うっちけい)将軍に捕まり、水責めによる拷問にかけられる雪舞。そこに「武器も持たない女を殺そうとするなど、それでも男か!」と言って、高長恭が参上。ショッカーのように湧き出てくる下っ端兵士をバッサバッサと切り捨ててゆき、美少女雪舞を救い出します。ベタな演出ですが、興奮する一幕です。

中国人の大好きな「好漢(こうかん)」

「あたし男よ」って言う時の「男」と「それでも男か!」の「男」は、意味合いがやや違います。上の高長恭の言葉の「それでも男か!」の「男」の原文は、「好汉(好漢)」です。中国語でハオハンと発音し、実は、ドラマ内に限らず中国の様々な場面でよく耳する言葉です。中国の人は好漢(こうかん)が好きなんですね。では、好漢とはどのような男でしょうか?それが知りたければ中国の四大名著の一つ、水滸伝(すいこでん)を読みましょう(笑)

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ロマンチックな実務

尉遅迥にロープを切られて水中に落ちた雪舞を追って高長恭も飛び込みます。その水底で酸素を彼女に口移しする高長恭。図らずもキスのようなかたちになってしまいました。白山村の成人式で雪舞から帯(おび)を受け取り、女媧廟(じょかびょう)で婚礼を行い、ここにきてキスです。いずれも「かたちだけ」の行為ですが、どう見ても2人の関係は進展しています。結婚してキスをしたら、次はおおよそ決まっていますが、それも「かたちだけ」でいくのか。あるいは別の展開に?

雪舞が流れ星に願ったこと

その晩の雪舞と高長恭の2人だけのお酒の席で、それぞれ流れ星に願い事をします。雪舞は次のように願いました。

須達将軍が早く良くなりますように

高長恭が流れ星に願ったこと

一方、高長恭は次のことを願いました。

もうこれ以上戦争がありませんように

はたして2人の正義はハッピーエンドを迎えるのか?

あれだけロマンチックなことがあった日の晩に2人が願ったのは、他人や公共の安全。そして今回の最後のシーンでも、かつて自分を騙した暁冬(きょうとう)に、雪舞は強く説教をします。

じゃああなたは自分のしたことが正しいことだとでも思っているの?生きるためなら何をしてもいいとでも言うの?

ドラマの始めから一貫して「正義」や「人として歩むべき道」が強く描かれていると思いました。

もっと知りたい人のための本

蘭陵王を扱った小説には、田中芳樹の『蘭陵王』があります。

蘭陵王の生きた時代は中国の南北朝時代。時代背景を知りたいなら、『魏晋南北朝 融合する文明』や『魏晋南北朝』あたりがいいかもしれません。