華流ドラマ『蘭陵王』第3話の感想と豆知識~産業豊かだった斉の国~

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全般的に当時の庶民社会の状況がよくわかる回だと思いました。雪舞と一緒に下町観光気分です。が、すぐに思わぬ展開に・・・

水滸伝っぽい世界観 

旅館で眠らされ、金儲けの種にされるという描写は、中国の四代名著の1つ、水滸伝(すいこでん)を想起させました。このドラマでのやり口はまだマイルドな方で、水滸伝ではたしか人肉としてお料理されていました。エグいです。水滸伝について詳しくは過去の記事をどうぞ。

yaseteru.hatenablog.com

バットマンがトイレにマスクを置き忘れる的な?

イケメンで優しくて勇猛な高長恭ですが、お面を忘れていきます。それを届けるため雪舞が村を出る、というお話。それがなくては戦(いくさ)に出れないような大切なお面を置き忘れていくなんて、意外におっちょこちょいな高長恭です。でもだからこそ彼と雪舞が再会することになるわけで、これも運命でしょうか?

蘭陵王の時代の物騒な社会

村を出た雪舞は南汾州城(なんふんしゅうじょう)で当たり屋行為、誘拐、人身売買を経験します。当時の物騒な世の中がうかがい知れます。一方で、「どうやら斉の国は鉄づくりがとても盛んなようね」という雪舞のつぶやきから、斉の社会の光の側面も見ることができます。

3ヶ国中、1番豊かだった斉の国

実際、斉の国の産業は非常に盛んだったようです。

北齐的农业、盐铁业、瓷器制造业都相当发达,是同陈、北周鼎立的三个国家中最富庶的。

北斉の農業、塩鉄業、磁器製造業は相当に発達しており、陳、北周と鼎立(ていりつ)する3ヶ国の中で最も豊かであった。

 (百度百科「北齐」より。筆者訳)

周の阿史那皇后を演じているのは誰?

周の阿史那(あしな)皇后の登場です。顔立ちがキリッとしていて、宝塚歌劇団出身かと思ってしまうほど。演じているのは、王笛という中国の女優です。1988年4月19日生まれ、浙江省麗水市雲和県出身で、北京電影学院を卒業しています。このドラマでは皇后してる王笛ですが、出身地の雲和県は超ド田舎で驚きました。

雪舞が南汾州城で飛びついたおせんべいみたいなやつは何?

あれは、饼(ピン)と呼ばれ、小麦粉をこねて伸ばして焼いたもので、今の中国でも最もポピュラーな食べ物の一つです。残念ながら日本ではほとんど見かけません。でも作るのは割と簡単です。興味のある方は『ウー・ウェンの北京小麦粉料理』を参考にしてください。

もっと知りたい人のための本

蘭陵王を扱った小説には、田中芳樹の『蘭陵王』があります。

蘭陵王の生きた時代は中国の南北朝時代。時代背景を知りたいなら、『魏晋南北朝 融合する文明』や『魏晋南北朝』あたりがいいかもしれません。