高校世界史でお馴染みのハンムラビ法典がロマンチックな歌になっていた?~周杰倫の『愛在西元前』~

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「ハンムラビ法典?あった、あった~!」

ハンムラビ法典って、「目には目を、歯には歯を」という有名なフレーズで、高校世界史の中でも強い印象を残すワードの一つですね。ただ、言葉は覚えているけど肝心の内容は忘却の彼方という人が多数だと思います。数学の「解の公式」といい勝負かもしれません。

倍返しはなし?「ハンムラビ法典」の復習

ハンムラビ法典は、古バビロニア王国(紀元前1830年-紀元前1530年)のハンムラビ王が制定したとされる法典のことです。「目には目を、歯に歯を」はその中の言葉で、仕返しの限界を定めています。しばかれたらしばき返すだけね、と。

「しばかれたらしばき返すだけ」のハンムラビ法典がロマンチックなラブソングに

実は、その「ハンムラビ法典」を素材にしたロマンチックなラブソングが存在します。周杰倫(ジェイ・チョウ)の歌う『愛在西元前』です。周杰倫は、1979年1月18日生まれで、台湾出身の男性歌手です。日本人の間ではほとんど知られていませんが、中華圏では最も人気のある歌手の1人です。

天才的な歌詞で、北京大学や精華大学も入試問題として採用

「愛在西元前」は、直訳すると「愛は紀元前に」となります。顔が熱くなりそうな甘い曲名ですが、その歌詞は純文学的な域に達しています。中国の超名門大学、北京大学や精華大学でも入試問題として採用された過去があります。

『愛在西元前』の歌詞の前半部分を紹介 

古巴比伦王颁布了汉摩拉比法典

刻在黑色的玄武岩 距今已经三千七百多年 

你在橱窗前 凝视碑文的字眼 

我却在旁静静欣赏你那张我深爱的脸 

祭司 神殿 征战 弓箭 是谁的从前 

喜欢在人潮中你只属于我的那画面 

经过苏美女神身边 我以女神之名许愿 

思念像底格里斯河般的漫延 

 

はるか昔バビロン王がハンムラビ法典を発布し

黒色の玄武岩に刻まれてからすでに3700年以上が経つ

君はガラスケースの前で碑文の字句を見つめてる

でも僕は傍で静かに君の愛しい顔を眺めてる

祭祀 神殿 出征 弓矢 誰の過去だろう

人混みの中 僕の視界の中にだけにいる君が好き

シュメールの女神の傍で 僕はその名のもとに誓う

思いがティグリス川の流れように永遠と続くことを

(筆者訳)

普通、玄武岩で愛を語れる? 

ハンムラビ法典、玄武岩、楔形文字(歌詞の後半で登場)など、男女間の愛とはおよそ無関係と思われる言葉を多数使いながら、ここまでロマンチックで美しい歌詞に仕上げるセンスは天才的です。

ちなみに『愛在西元前』を作詞したのは周杰倫ではなく、同じく台湾出身の作詞家、方文山です。

失われた世界史を求めて 

もしこの曲を聴いてすっかり忘却の彼方の世界史を勉強したくなったら、集英社の『世界の歴史』がおすすめです。漫画なので、娯楽感覚で世界史が学び直せます。