「春が来た」を英語の過去形か現在完了形で表現する場合に生じる決定的な違い

スポンサーリンク

引き続き、『例解 和文英訳教本』 (文法矯正編)を読み進めます。

P34~37の現在完了(結果)と過去形について書かれた部分を読みました。

この分野についてはマーク・ピーターセン氏の「日本人の英語」シリーズでしっかり理解したので、課題文の英訳もけっこういい線を行きました。

日本語で「~した」に当たるものを英語にするとき、過去形かそれとも現在完了形にするかけっこう恣意的になりがちです。

でも、どちらを使うかで意味に大きな違いが生じるので、何となくで使い分けるのは誤解のもととなります。

現在完了形は「今」を含む

本書で使われている「春が来た」の例文は両者の違いを理解するのにわかりやすくてよいと思います。

Spring has come.

春が来た

(『例解 和文英訳教本』 (文法矯正編)P34より 強調等は省略)

現在完了形は、過去のある時点で起こったことの影響が今に至るまで続いてる場合に使われます。

」が含まれていることがポイントです。

春がやって来て、今もその春という季節の中にある状態を表しているのが上の引用文なのです。

過去形は「今」を含まない

Spring came later than usual this year.

今年は春の到来が例年より遅かった

(同書P35より 強調等は省略)

これは過去形です。

過去形は、現在完了形と違い、今を含みません

だからSpring came(春が来た)といっても、今はもう春ではないのです。

そのため、分脈でわからない限り、普通、春が来たのがいつなのかを明示する語句が伴います。

上の例文でいえば、this yearでいつであるかが示されています。

「今」と断絶しているのが過去形で、「まだムードが続いている」のが現在完了形

自分は、起こった事が過去のこととして「今」と断絶している場合は過去形を使い、そのムードがまだ続いている場合は現在完了形を使う、と考えています。

「春が来た」でいえば、それがまったくの過去のことで、今はもはやその気配さえなくなっている場合は過去形です。

一方、春が来て今もそのムードに包まれているなら現在完了形です。

春の到来についてくらいなら、使い分けを間違って誤解が生じてもたいした問題ではない場合が多いと思います。

でも、それが契約に関することだったりしたら、大きな問題に発展する可能性もあります。

印象に残っているのが、『日本人の英語』(マーク・ピーターセン著)の以下の記述です。

たとえば,これは一つの小さな時制の間違いでありながら,大失敗になりかねない問題でもあるような例であるが,

We have signed a contract.(契約している.)

ということを伝えようとしているのに,

We signed a contract.(契約していた.)

と書く.

(中略)

つまり,''We have signed a contract.''の現在完了形は,そのsigningによる影響や結果が,現在に至るまで続いているという状態を表す.だから,現在有効の契約について述べるのなら,現在完了形を使えばよい.しかし,''We signed a contract.''の過去形は,そのsigningによる影響や結果が現在に至るまで特に続いていない,あるいは,続いているとしてももう関係なくなったという状態を表す.したがって,現在ではもう無効となった契約について述べるのなら,普通の過去形を使えばよい.

(マーク・ピーターセン著『日本人の英語』P115~116より (中略)は当ブログによる省略)