引き続き、『実践 日本人の英語』を読み進めます。
本日は、P85~104の仮定法について解説された部分を読みました。
仮定法を理解する上で重要なポイントは、「もし~だったら」の内容がありえることなのか、それともありえないことなのか、です。
仮定法は、ありえないことの場合に使われます。(他に、事実に反することやありそうもないことの場合)
仮定法が使われた有名な例文がこれです。
If I were a bird, I would fly to you.
もし私が鳥だったら、あなたのもとへ飛んでゆくのに。
「もし私が鳥だったら」というのはありえない前提なので、仮定法が使われています。
なので、日本語で「もし~だったら」という表現であったとしても、それがありえることなら仮定法は使いません。
例えば、天気予報で降水確率が60%となっているときの「もし明日雨だったら」は十分にありえることなので、仮定法は使わずIf it rains tomorrowとします。
以上は仮定法の基本の確認ですが、『実践 日本人の英語』では、if節の省略された仮定法が紹介されています。
I would be glad to help you.(喜んでお手伝いします)
(マーク・ピーターセン著『実践 日本人の英語』(岩波新書)P97より)
wouldを使えば丁寧になるという丸覚えで深く考えたことはなかったのですが、実はこれも仮定法だったんですね。
上の文は、if節が省略されており、常識的に想定されるif節の内容は次のようなものです。
’’If it would be all right with you,....’’(もしそちらとして特に差し支えなければ,‥‥‥)
(同ページ)
ここで「あれ?」と思われた方は、仮定法をよく理解しています。
仮定法の前提は「ありえないこと」や「事実に反すること」であったのではないか、と。「そちらとして特に差し支えなければ」というのはありえない話なのか、と。
相手は明らかに差し支えのある顔をしているのでしょうか?
この疑問について、本書では次のように説明されています。
これは,少しくどく説明すれば,「あなたは当然私に手伝ってほしいだろう」という大きな態度を前提にせず,「あなたが私のようなものには手伝ってほしくないと思っている可能性は十分にあるだろうと思いますが‥‥‥」という謙虚な態度を前提にするために,ここで仮定法を使っているのである.日本語にたとえてみるなら,「私でよければ,‥‥‥」といったような感覚で,相手を尊重し,敬意を表しているものと考えればよい.
(同書P98より)
If it would be all right with you...は、相手が差し支えないと思っている前提で手伝う意志を表明するのは、厚かましく失礼になる可能性があるので、仮定法によって儀礼的に差し支えることを当然とした言い方だったんですね。
これまでそういうもんなんだろうで済ましていましたが、本書の解説を読んで、wouldやcouldがなぜ丁寧な表現になるのか理解できました。
例えば、
Could you say that again?
もう一度言っていただけますか?
というのも、「聞き取れなかったとんまな私のためにもう一度言うのなんて絶対イヤでありえないだろうけど、もし、そう、もしでいいねんけど、もしよかったら…」という仮定法による前提が省略されていたのでした。