対流圏で高度とともに温度が上昇する逆転層(接地逆転層・沈降逆転層・移流逆転層)ができる理由を超わかりやすく簡単に解説!【気象予報士試験対策】

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『イラスト図解 よくわかる気象学』を使って、気象予報士試験対策をしています。今日は、逆転層について勉強しました。

ここで自分なりの理解をまとめておこうと思います。

逆転層とは?

普通、日本の位置する緯度では、対流圏と呼ばれる地上から高度約11kmまでは、高度の上昇とともに気温が低下していきます。

ところが、時と場合によっては、高度とともに気温が上昇する層ができます。この層のことを逆転層といいます。

高度約11km以上の成層圏では高度が高くなるにつれて気温が上昇するので、逆転層とはいわば対流圏内における成層圏化ですね。

逆転層は、それが生じる原因から三つに分けることができます。すなわち、接地逆転層、沈降(ちんこう)逆転層、移流逆転層です。

接地逆転層とは?

接地逆転層とは、夜間に地表とそれに接する空気が冷えた結果生じる逆転層のことです。

地表付近の空気が冷えれば、それより上の空気の方が温度が高い、すなわち高度とともに気温が上昇する逆転層ができることになります。

接地逆転層は、夜間の乾燥した風の弱い日に生じやすいです。

昼間は日射によって地表が温められますが、夜になると地表は冷めていく一方になります(放射冷却)。

地表が冷めるとそれに接する空気も冷やされ、逆転層が形成されるのです。

また、乾燥した日は水蒸気による保温効果が弱くて地表が冷めやすく、風が弱いと周囲の温かい空気と混ざり合いにくくなります。

そのため、逆転層は夜は夜でも乾燥した風の弱い夜に形成されやすくなります。

沈降逆転層とは?

沈降逆転層とは、高気圧の下降気流の断熱圧縮によって生じる逆転層です。

高気圧は、上空で空気が集まり、それが下降気流となって地表付近で発散することで生じます。

上空で集まった空気に比べて、地上付近で発散する空気が少ないので、中心の圧力が高まります。

ドリップコーヒーを想像するとわかりやすいです。

普通、注がれるお湯の量は、落ちていくお湯(コーヒー)の量よりも多いので、注いでいる間はどんどんお湯が溜まりドリップパックが重くなるはずです。

この重さが、高気圧のようなものです。

高気圧の場合は、その下降気流で断熱昇温が生じ、地表付近よりもその上空の方が気温が高いという状況が生じます。

これが、沈降逆転層です。

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移流逆転層とは?

移流逆転層とは、温かい空気が冷たい空気に乗り上げることで生じる逆転層のことです。

温かい空気と冷たい空気が出会うと、温かい空気の方が密度が小さく軽いため、冷たい空気に乗り上げることになります。

すると以下のイメージのように、斜めに暖気と寒気の境目ができます。この境目を転移層と呼びますが、ここにできる逆転層が、移流逆転層です。

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移流逆転層は、暖気と寒気の境目である転移層に沿ってできます。

転移層のどの場所をみても、下に寒気があり上に暖気があるので、高度とともに温度が上昇する逆転層となるのです。

ちなみに、暖気と寒気が出会ったときのその境目あたりに、いわゆる前線ができるので、移流逆転層は前線性逆転層とも呼ばれます。