時制の一致の例外~主節が未来形なのに従属節が現在形なのはなぜ?~

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引き続き、『実践 日本人の英語』を読み進めます。

本日は、P65~83を読了しました。

その中で、

After I graduate, I will start working for a bank.

という例文があります(P77)。

意味は、意訳すれば、「私は卒業後、銀行に入るつもりです」です。

ある程度英語のできる人なら、一読して意味はすぐわかると思います。

ここで質問ですが、銀行に入るのは未来のことなのでwillが使われていますが、同じく未来のことである卒業についてはなぜ現在形で表されているのでしょうか?

本書の解説はこうです。

従属節である’’After I graduate’’が現在形になっているのは,これが,’’I will start working for a bank''(銀行に勤め始める(つもりです))という主節から見た現時点だからである.そう考えると,ここは未来形にはなりようがない.’’After I graduate''の時制について,現在形以外で可能なのは,基本的に同じ意味を表す’’After I have graduated''という現在完了形しかないのである.

(マーク・ピーターセン著『実践 日本人の英語』(岩波新書)P77より)

正直にいうと、この解説を読んでもイマイチ腑に落ちなかったです。なので、ちょっと「うーん」と考えてみて次のように理解することにしました。

After I graduate, I will start working for a bank.

この文で本質的に最も重要なのは、書き手がどういう意志を持っているか、です。だから主節で意志未来を表すwillを使っています。

そして、ここがポイントなのですが、書き手は、その意志が最も大きな意味を持つとき、つまり卒業する時期に想像的に入り込んでいます

想像的にではあれ、本来は未来であるはずの卒業時期に書き手はいるので、それはその人にとって現在同然となります。

だから、After I graduateと現在形になるのです。

自分はこのように解釈して、上の例文の時制の一致の例外を腑に落としました。

ちなみに、『表現のための実践ロイヤル英文法』では、主節が未来形で時・条件を表す副詞節が現在形になることについて、以下のように説明しています(P56)。

主節を見れば未来に関することだとわかるから,従位節中の動詞は,それとの関連で,形は現在形でも,主節と同じ未来のことだとわかる。

乱暴にまとめると「見たらわかるから」ということですが、これはこれでわかりやすいとは思います。

実は『実践 日本人の英語』には、もう一つ別の理解の仕方についても簡単に書かれています。興味のある方は本文で確認してみてください。