気象予報士試験対策として、『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』と『イラスト図解 よくわかる気象学』を読み、大気の窓について勉強しました。
ここに自分なりにまとめておこうと思います。
太陽放射と地球放射
地球は太陽から放射される電磁波により、温まっています。
同時に、地球は電磁波を放射することで、冷めています。これが、放射冷却です。
太陽が放射する電磁波を太陽放射、地球が放射する電磁波を地球放射と呼びます。
大気の保温効果で氷点下を免れている地球
地球が太陽放射により温まり地球放射によって冷めている、というだけの単純な話なら、地球の平均気温は氷点下に落ち着くとされています。
しかし、実際の地球の平均気温は15℃に保たれています。
なぜでしょうか?
それは、地球の大気が地球放射を吸収し、地表に向けて再放射しているからです。
つまり、大気による保温効果によって、本来は氷点下になるはずの地球の平均気温が、15℃という人間にとって比較的過ごしやすい水準に保たれているのです。
大気の窓とは、赤外線のある波長域のこと
地球が放射する電磁波の大部分は赤外線ですが、そのほとんどが大気によって吸収されます。
しかし、ここがポイントなのですが、ある一定の波長域の赤外線だけは大気を素通りすることができるのです。ちょうど、ざるに砂が少し混じった小石を入れると、砂だけがざるの穴を通り抜けて出ていくイメージです。
この赤外線のある波長域のことを大気の窓と呼びます。
具体的には、赤外線のうち、波長が約10~12㎛の範囲にあるものは大気に吸収されず、素通りしていきます。
太陽放射はほぼ素通りし、地球放射はほぼ吸収される
ちなみに、太陽放射の大部分は可視光線であり、地球放射の大部分は赤外線です。
雲による反射分を除いた太陽放射の約70%は、大気を素通りして地表に吸収されます。
一方、赤外線は、大気の窓に当たるものを除き、ほとんどは大気に吸収されます。
まとめ
以上のことを比喩的にざっくりまとめるなら、
太陽放射(収入)と地球放射(支出)の収支は、大気の支出抑制作用がなければ、赤字になって地球の平均気温が氷点下になる、しかし実際はそうした大気の作用のために黒字になり、地球の平均気温が15℃に保たれている、
となります。
もちろん厳密にいえば最終的に収支は一致するので(一致しなければ地球は冷める一方もしくは温まる一方になる)ツッコミどころが満載でしょうが、あくまでこういうイメージを持っておくと理解の助けになると思います。
まずは細かい話を抜きにして、ざっくりと理解していきましょう。