my friendを安易に使わない方がいい理由とmy friendとa friend of mineの意味の違いを理解することの重要性

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『実践 日本人の英語』の「マイ問題―「私の~」」のパートを読了。

著者による日本人の英語シリーズの前の作品でも取り上げられていたmyの問題について詳しく解説されています。

たとえば,300語前後の英作文をせよ,という課題があって,その冒頭を「私は,春休みに,友人と一緒にタイに行きました」と書き始めたいとする.読者の皆さんは,どのような英文を書かれるだろうか.

In the spring vacation, I went to Thailand with my friend.

もし,こう書いたとすれば,あなたも立派に「my friend問題」の仲間入りだと思ってもいい.

(マーク・ピーターセン著『実践 日本人の英語』(岩波新書)P17より)

実は、冒頭でいきなりmy friendと書くと、自分の唯一の友人とタイに行ったことになるんですね。

あるいはもしこれが、my friendsならば、自分の友人全員と一緒にタイに行ったことになります。

ここで確認しておくと,myやher, his, your, our,などの所有形容詞は,「その人(や物)が所有している唯一の(=すべての)○○であること」を表すことになる文脈が極めて多い.

(同書P18)

だから、自分の複数いる友人のうちの一人とタイに行ったのであれば、my friendではなく、a friend of mineもしくはone of my friendsとすればよいのです。

自然な日本語としては「私は,春休みに,私の友人と一緒にタイに行きました」とは書かないのに、なぜ英語だとmy~と多くの人が書きがちなのだろうかと著者のピーターセン氏は不思議に思ったそうです。(P19)

その原因をピーターセン氏は、同様の間違いを犯して書かれた中学校や高等学校の英語の教科書に求めます。

それも原因の一つだと考えられますが、自分は、日本人のmy friendとa friend of mineという表現に対する誤解も関係しているのではないかと思います。

それは、my friendの方がふわっとぼかした日本的な表現で、a friend of mineの方は、「私の友人の一人」とも訳されるためか、ちょっとくどい具体的すぎる表現だという誤解です。

こうした誤った理解を持っているため、先の例のように多くの日本人がmy friend問題に陥ってしまっているのではないか、と。

実際は、a friend of mineの方がふわっとした抽象的な表現であるのに対し、my friendの方はむしろ具体的なんですね。

なぜなら、my friendのmyが表すのは、先の二番目の引用からもわかるように、「唯一性」や「全部性」だからです。

a friend of mineという表現にあるのは「私の友人の一人」、つまり「複数人いるうちのある一人の友人」という曖昧性です。

一方、my friendは「唯一の友人」で、強い特定性があります。

だから、日本人がmy問題に陥らないためには、my, her, hisといった所有形容詞が表す具体性をよく理解する必要があると思いました。

In the spring vacation, I went to Thailand with my friend.

この例文は、my friendを使うことで書き手の交友関係をふわっとぼかすことに成功しているのではなく、自分にはただ一人の友人しかいないことが暴露されているのです。

もちろん、これは話の冒頭に使われているからで、最初にa friend of mineと書けば、その後はmy friendにして問題はありません。

そのmyの唯一性は、『一緒にタイに行ったその友人」という意味での唯一性です。

my問題についてもっと詳しく知りたい方は、『実践 日本人の英語』でお楽しみください。面白いですよ。