大気が条件付き不安定とは?具体例とともに超わかりやすく簡単に解説!【気象予報士試験対策】

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『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』『イラスト図解 よくわかる気象学』を使って、「大気が条件付き不安定」ということについて勉強しました。

ここで自分なりの理解をまとめて書いておきます。

「大気が不安定」とは?

まず、大気が不安定とは、温かく軽い空気が下にあり、冷たく重い空気がその上にある状態です。

これは陽気で軽い子供が、冷静でずっしりとしたお父さんをおんぶしているイメージです。

その状態は子供にとってキツいので、お父さんにおんぶしてもらおうと上に移動しようとします。

温かい空気(子供)はふわふわと上昇をし始めるのです。

なぜ雲が生じる?

高度が上がるほど気圧は低くなるのでその上昇する空気は膨張し、温度が下がります(空気分子の運動エネルギーが膨張のためのエネルギーとして使われるため)。

温度が低いほど空気が含める水蒸気の量が減るため、含みきれなくなった水蒸気が小さな水滴、すなわち雲の粒となります(気体(水蒸気)から液体(水滴)の変化を凝結という)。

このようにして下にあった温かい空気は上昇しながら雲を作っていきます。

空気をフェアに比較するには高さをそろえる必要がある

ただ、重要な点は、「下と上の空気をそれぞれ測ったら、下の空気の方が温度が高かった、だから不安定」と、そう簡単にはいかないところです。

空気の温度をフェアに比べるためには、その空気のある高さをそろえる必要があります

なぜなら、空気はどの高さにあるかによって、温度が変わるからです。

これは、60歳のおじさんと20歳のお兄さんのハンサム度合を比べるのがフェアではないのと同じようなものです。

容姿は年齢によって変わるので、比べるならおじいさんが20歳の時の写真と20歳のお兄さんでしょう。

空気もそれと同じで、高さによって温度が変わるので、二つの空気を比べる場合は高度をそろえて初めてフェアな比較になります。

具体例

例えば、地上に25℃、1km上空に17℃の空気があるとします。

これは一見、子供(温かく軽い空気)がお父さん(冷たく重い空気)をおんぶしている状態のようにも思えます。

しかし、今書いたように、空気の温度をフェアに比べるには、高さをそろえる必要があります。

結論を先に書くと、上の例の場合、地上の空気が乾燥しているなら、地上の空気が冷たく、上空の空気が温かい、つまりお父さんが子供をおんぶした安定した状態です。

一方、地上の空気が湿っているなら、地上の空気が温かく、上空の空気が冷たい、つまり子供がお父さんをおんぶした不安定な状態です。

そしてこの、地上の空気が乾燥しているなら安定だけれども、湿っている場合は不安定であるという大気の状態を、条件付き不安定といいます。

実際に簡単な計算をして確認してみましょう。

地上の空気を上空1kmに持ち上げて、そこの空気と比較することを考えます。フェアに比べるために高さをそろえるのです。

最初の方で、空気は高度が上がるほど温度が下がると書きました。

この温度が下がる割合は、その空気が乾燥しているか、湿っているかで異なります

具体的には、乾燥しているなら1km上昇するごとに10℃低下します(この割合を乾燥断熱減率という)。

一方、湿っているなら1km上昇するごとに5℃低下します(この割合は湿潤断熱減率という)。

例えば、地上に25℃、1km上空に17℃の空気があるとします。

これは上で挙げた例ですが、この場合の地上の空気を、乾燥しているものとして、上空1kmに持ち上げてみます。

乾燥断熱減率で計算

乾燥断熱減率に基づくと、地上で25℃のこの空気は、上空1kmで15℃となります。

上空の空気は17℃だったので、地上の空気の方が実は冷たかったことが判明しました。

つまり、一見すると地上の空気の方が温かかったのに、フェアに比較してみると実際は地上の空気の方が冷たかったのです。

湿潤断熱減率で計算

さて、次は地上の空気が湿っている場合です。

湿潤断熱減率に基づくと、地上で25℃だった空気は、上空で20℃となります。

上空の空気は17℃だったので、一見した通り、地上の空気の方が温かかったことがわかりました。

つまり、子供がお父さんをおんぶしている不安定な状態だったのです。

あらためて条件付き不安定とは?

以上のように、地上の空気※が乾燥しているなら安定であり、湿っているなら不安定な大気の状態を条件付き不安定といいます。

 

※厳密いえば、「地上」である必要はありません。上空の空気を地上の空気にそろえて考えた場合も同じです。