気象予報士試験対策として、『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』(講談社)を読み進めています。
本日は、P79~92を読了しました。
面白いと思ったのは、積乱雲、通称入道雲と呼ばれる雲が消滅する理由です。
まずは雲ができるプロセスからおさらい。
太陽の熱で地表が温められると、その地表に接して温かく軽くなった空気のかたまり(サーマル)が上昇を始めます。
こうして生じる上昇する空気の流れを上昇気流といいました。
高度が高くなるほど気圧が下がるので、上昇した空気が膨張し、温度が低下します。
すると、結露と同じ理屈※で、空気に含みきれなくなった水蒸気が小さな水滴、つまり雲の粒となって雲が生じます。
※空気は温度が下がると含むことのできる水蒸気の量が減ります。温度が下がって含みきれなくなった水蒸気が水滴となります。
こうして雲は上へ上へと成長していきます。
積雲(わた雲)から雄大積雲に、そして積乱雲へと成長します。
雲の成熟期にあたる積乱雲となると、雨を降らせるようになります。
さて本題、ここから積乱雲は衰退期(減衰期)に入るのです。
なぜ衰退を始めるかというと、積乱雲の降らす雨が、周囲の空気を冷やしながら引きずり下ろすことで、冷たい下降気流が生じるからです。(これが地表に当たって水平方向に進み、外側の空気と接する部分をガストフロントと言います。イメージでいうと、冷たい下降気流が新幹線だとすれば、それが地表に当たって地上を水平方向に走り出します。その新幹線のフロントガラスと空気の接する部分がガストフロントです)
ここで重要なポイント。
雲を成長させる力となったのは、上昇気流でした。
しかし、この下降気流は、上昇気流とは反対の、それを抑制する力となります。
積乱雲は、最も発達したときに、その成長とは相反する下降気流が生じるために衰退へ向かうとも言えます。下降気流は積乱雲の寿命を縮めるのです。
(古川武彦・大木勇人著『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』(講談社)P85より)
こうして積乱雲は衰退し、消滅していくのです。
ちょっと切ないですよね。
腹が減ってはいくさができぬ、と言って食べ過ぎてむしろ戦えなくなった武士みたいじゃないですか。
しかし本書によれば、冷たい下降気流によって生じたガストフロントが地表の暖かい空気を持ち上げ、新たな上昇気流を作り出すこともあるそうです。
それがまた積乱雲となるんですね。
ということは、見方を変えると、雲の成長を抑える力であったはずの冷たい下降気流は、また別の雲を作り出す力でもあったということです。
今日読んだ範囲では他に、なぜ雷は「ゴロゴロゴロ」と長く聞こえるのかといった疑問に関する解説もありました。面白いので、興味のある方は読んでみてください。
『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』