引き続き、『続 日本人の英語』を読み進めます。
本日は、P151~158を読了。
findとdiscoverや使役動詞としてのmake, let, haveについて解説されていました。
知っていることも多かったですが、have 人 doとget 人 to do(いずれも日本語では「(人に)~してもらう」という意味)の違いについて勉強になりました。
使役動詞のmakeとletのニュアンスの違いについては、英語の上級者であれば知っている人も多いと思います。
一応確認しておくと、makeが強制的な「~させる」という意味なのに対し、letは許可的、譲歩的な「~させる」です。
make (強制的に)~させる
let (許可的、譲歩的に)~させる
「父」に厳格で命令的な、「母」に優しく寛容なイメージがあるなら、makeは「父」の「させる」、letは「母」の「させる」と考えるとよいです。
使役動詞have(had)は、本書では「中立的」と説明しています。
''had''は,''made''と''let''の真ん中にあり,中立的な存在である.
(マーク・ピーターセン著『続 日本人の英語』(岩波新書)P156より)
中立的とはいうものの、その後に但し書きがあります。
ただし,’’have (someone) do (something)''という表現は,多少ビジネスぽいニュアンスがあるので,身内の人に対しては,かならずしもふさわしい表現ではない.それに,何と言っても,''have (something) do''は,「やってもらうのは当然だ」という事情を示すので,使い方がそれだけ限らている.
(同ページ)
本書では、娘が母に留学の願書に「許可」のサインをしてもらう状況を描写した例文が載せられています。
その場合、親が留学に特に反対していないなら、「サインをしてもらう」の「してもらう」にはhaveが使えるとします。母は身内の人ですが、サインは一種親の責務ともいえるのでビジネスライクなhaveを使うのです(P157)
しかし、反対する母を説得してサインをしてもらうなら、getを使う、と。記事タイトルにもある、get 人 to doですね。
getには、相手を説得して何かをしてもらうニュアンスがあるのです。
実は、こうした使い分けの説明は、文法書にはもちろん、辞書にも載っているものです。例えば、『アンカーコズミカ英和辞典』(学研プラス)のP770には、
I got him to fix my computer.(彼を(お礼に食事をおごるからなど)いろいろ口説いてコンピュータを直してもらった)(►修理が彼の仕事で当然のこととして頼める場合は,I had him fix my computer.).
とあります。
「(人に)~してもらう」という意味の「have 人 do」のhaveは、「お客様気分」のhaveです。
何らかのサービスを提供する人にお金を払えば、その人はあなたにそのサービスを提供する責務が生じます。
そうすると、客であるあなたは相手にそのサービスを「してもらう」ことができます。
これが「お客様気分」のhaveです。
一方、同じく「(人に)~してもらう」という意味の「get 人 to do」のgetは、「交渉人気分」のgetです。
相手を説得したり、相手に働きかけたりして「してもらう」のは、交渉人の姿に近いものがあります。
そのイメージから、「交渉人気分」のget。
haveもgetも「~してもらう」ですが、
have 「お客様気分」の「してもらう」
get 「交渉人気分」の「してもらう」
と覚えるとよいです。
『続 日本人の英語』の今回読んだ範囲では、こうした使役動詞の他に、findとdiscoverのニュアンスや使い分けについても解説されています。気になる人は読んでみてください。