過冷却水滴の意味と、雲の中でそれが氷晶になり始める温度の覚え方~雲粒はなぜ凍らないのか?~【気象予報士試験対策】

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引き続き、『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』を読み進めます。

本日は、P62~71を読了しました。

主に、過冷却水滴が氷晶に変わる仕組みについて解説されています。

過冷却水滴とは、凍るはずの温度である0℃以下になっても凍らないでいる水滴のことをいいます。

もっと短くいえば、凍るはずの温度なのに凍ってない水滴、です。

雲を構成する雲粒は、なんとマイナス33℃以下になってやっと凍り始めるといいます(もちろんそれより高い温度でも凍る雲粒がないわけではない)。

過冷却水滴の雲粒が自然に凍るのは、非常に低い温度で、マイナス33℃以下でやっと凍るものが現れ始めます。温度が低いほど液体の分子の動きがおとなしくなるので、小さな結晶の種が壊れずに生き残る確率が高くなります。おおよそマイナス40℃以下では、ほぼ100%の雲粒で結晶の種が生き残り、雲粒全体が凍ります。積乱雲の最上部や巻雲のできる高さではマイナス40℃以下の温度になりますから、雲の粒はすべて氷晶です(図2-5の➊)。

 逆に、同じ氷点下でも温度が高めのマイナス33℃以上のところでは、氷晶ができ始めてはいるものの、多くの雲粒は過冷却水滴のままです(➌)。特に、マイナス4℃から0℃のところは、ほとんどすべての雲粒が過冷却水滴でできています(➍)。

(古川武彦・大木勇人著『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』(講談社)P65~66より)

ポイントは、雲粒は、マイナス33℃以下で凍り始めるということと、マイナス4℃から0℃では、ほとんど過冷却水滴の状態であるということです。

この事実を覚えるためのゴロ合わせを作ったので、ここで紹介したいと思います。

気象予報士試験に役立つ知識かどうかは知りません。

が、こういう知識は頭に入れておくと、思考の材料となるし、今後の勉強もますます楽しくなります。

「雲粒は、マイナス33℃以下で凍り始める」

これのゴロ合わせは、

ささっと凍り始める雲粒

です。

「(マイナス)33℃」が、「ささっ」です。

「マイナス4℃から0℃では、ほとんど過冷却水滴の状態」

これは、

毎夜降りてくる水滴

「マイナス4℃」が「毎夜」、0℃の0は、ローマ字のOと考え、「降り」の「お」です。

ちょっとホラーっぽいゴロ合わせですね。

さて、ではなぜこれほど低い温度にならないと凍らないのか、と疑問に思いますね。

ひと言でいえば、「雲粒(過冷却水滴)が小さいから」です。

雲粒、つまり液体の状態というのは、水分子が自由に動き回っている状態です。

一方、氷晶、つまり固体の状態は、水分子が秩序正しくつながり合っている状態です。

これは、小学校や中学校の教室のイメージを持つとよいです。

水分子を生徒とすると、休み時間中は生徒が自由に動きまわっています。

これが液体の状態です。

しかし、授業が始まる(氷点下になる)と生徒は規則正しく並んで着席します。

これが固体の状態です。

固体の状態についてもう少し厳密にいうと、授業の時間になると生徒は六角形に着席していきます。六角形の班がいくつもある教室を思い浮かべましょう。

ばらばらに動き回る液体の水分子は、0℃以下では、六角形につながり合った小さな構造(小さな結晶)があちこちにできて成長し始めます。これが結晶の種となり、この種に水分子が規則正しくつながって大きくなることで、液体の水は、全体が結晶構造をもつ個体の氷に変化します。

(同書P63~64)

授業が始まったばかり、あるいは始まろうとするときは不安定です。

すでに着席している生徒(水分子)もいれば、まだ動き回っているやんちゃな生徒もいます。

せっかく何人かが着席していくつか六角形の秩序を作り始めているのに、一部のやんちゃな生徒が邪魔をしてそれらを壊してしまうこともあります。

雲粒が氷晶に変わり始めるときもこれと似た状況です。

いくつかの水分子が小さな結晶のもとを作り始めても、まだ動き回っているやんちゃな水分子に破壊されてしまいます。

やんちゃな水分子に乱されずに済んだ一部の結晶のもとがあれば、それが成長して雲粒(水滴)は晴れて氷晶になることができます。

このやんちゃな水分子に乱されない幸運な「結晶のもと」は水分子の数そのものが多いほど、現れる確率が高くなるといいます(P64)。つまり、大人数の教室ほどそういう幸運な「六角形の班」が生じやすいのですね。

しかし、雲粒は、小さい。

つまり、水分子の数が、少ない。

だから、マイナス33℃以下にもなってようやく凍り始めるのです。

この記事では自分なりの比喩を使ってざっくり説明してみました。

『図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図』ではより詳しく解説されているので、興味のある方は読んでみてください。非常にわかりやすく面白い本です。