work at, work in, work forの意味と違いが、前置詞の観点から超わかりやすく簡単に解説された『続 日本人の英語』

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マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』の「橋の下よりほととぎす―前置詞」のパートを読了。

面白いと思ったのは、work at, work in, work forのそれぞれの違いの解説。

何となくの感覚的理解で済ましている基本表現を、言葉で丁寧に説明されると新鮮である。

「大学の図書館に勤めている」の英語として、本書では以下の三つの例文を挙げている。(P82)例文だけ抜粋しよう。

(1)I work at the University Library.

(2)I work in the University Library.

(3)I work for the University Library.

前置詞のatには「場所」を示す基本的役割があるので、「I work at......」は「働く場所」に重点がある。

よそから見た「あそこ」で働いている,という感じがかならずある.

(マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書)P82)

atには、地図感覚があると思えばわかりやすいと思う。

あくまでイメージだが、地図のあるポイントを指さして「ここ」と言っている感じ。だから自分自身がそこに含まれている感覚は小さく、比較的客観的で中立的。

一方、前置詞inの基本的意味は「~の中に」というものだ。だからinには、どこか「入れ物」を感じさせるものがある。

”I work in the University Library.”と言えば,図書館を「場所として」というより,むしろ「建物や組織として」という意識が強い.

(同書P82)

「建物」は一種の入れ物とみることができる。「組織」も、地中に張り巡らされたアリの巣のイメージで、「入る」ことのできる入れ物のように考えることが可能だ。

inについては、その組織が大きいほど使われやすく、逆に小さいほど使われる機会は少なくなるようである。

が,非常に小さな会社の場合,何か「の中に」勤めているというような意識は薄いのである.

(同書P84)

最後に前置詞のforだが、これには「~のために」という基本的意味がある。

昔の人が「お国のために」と言うとき、国の与えてくれた恩に報いるという意味合いがどこかにある。

それと同じように、work forは、毎月賃金を与えてくれる会社や何らかの組織「のために」働くイメージだ。

そういう意味で,多くの場合,”work for......”と言えば「そこに雇われている」というニュアンスが強い.

work at, work in, work forの三つの中では、「雇われ感覚」のwork forが日本語の「勤めている」というニュアンスに最も近いのではないかと思う。

残りの二つは、どちらかといえば、「働いている」という日本語に近いかもしれない。

本文では、work at, work in, work forが「~で働いている、勤めている」という意味にならない場合についても紹介している。

しかし、そのときでも前置詞の基本的論理は保持されるとする。詳しくは『続 日本人の英語』でどうぞ。