春節になぜ中国人は爆竹を鳴らすのか?~お金持ちは爆竹を鳴らさない?~

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「今日头条」(中国)というアプリの「艺述史」というチャンネルで、「穷人放鞭炮,富人在听响」(貧乏人が爆竹を鳴らし、お金持ちがそれを聞いている)という言い伝えの内容を説明した動画を見ました。

中国では旧暦におけるお正月、いわゆる旧正月に、多くの人が爆竹を鳴らします。というと、頭の中で爆竹を鳴らすイメージがパッと浮かぶかと思いますが、中国の春節に爆竹が鳴らされる光景というのは、そのイメージとはちょっと違うかもしれません。

何しろ各自が至る所で大量の爆竹を鳴らすので、全土に爆竹がさく裂するというイメージに近いです。百聞は一見に如かずということで、例えば、以下が中国の春節のワンシーンです。

壮観な光景で、一見の価値はありますが、近年は、大気汚染対策による規制が強まり、都市部でこのような光景を見るのは難しくなりました。

僕が中国語の勉強のために中国にいた頃は、大晦日の晩から炸裂しだし、朝起きてもまだ外でパチパチバンバン鳴っていました。

一説によれば、旧暦の大晦日からその翌日の一晩で中国において消費される火薬の量は、第二次世界大戦で使われた量の数倍に達すると言われています。

という説は冗談ですが、先の艺述史では、春節に爆竹を鳴らす意味が紹介されています。それによると、爆竹を鳴らすことによって、厄払いをし、財を成すことを願う(驱邪消灾 祈求自己发大财)のだそうです。

そして、かつては爆竹を鳴らすのは貧乏人で、お金持ちは鳴らすことはなかったといいます。かつてというのは、中国がまだ科挙などを実施しているような時代ですね。

まず昔のお金持ちというのは教養のある、いわゆる知識人です。彼らは、爆竹を鳴らすよりも、詩を書いたり絵を描いたりと、雅(みやび)なことをして過ごしました。

しかも、お金持ちは家に神様を祀ることを好みます。神様は静けさを好むので、爆竹で騒がすようなことはしません。例えば、「文」の神様として祀られる文曲星を爆竹で驚かせると、子どもの科挙受験に悪い影響を与えてしまいます。

以上は昔の話ですが、野暮ったい遊びや行事を上流階級の人が避けるのは、理由は様々あれど、今も昔も同じだろうなと思います。

最近では、中国古代の日常生活を細部にわたって明らかにした『古代中国の24時間-秦漢時代の衣食住から性愛まで』(中公新書)という面白い本が発売されました。興味があれば、読んでみてください。

 

参考:今日头条「艺述史【都说初一放鞭炮,为何老话说:穷人放鞭炮,富人在听响?】