『楊貴妃 大唐帝国の栄華と滅亡』(村山吉廣著)の第1章を読了しました。
第1章では、玄宗皇帝が帝位についた経緯、唐王朝の都、長安の成り立ちや当時の様子が記述されています。
本書は、約250ページの、講談社学術文庫の中では比較的短めの本です。しかし、中身が濃く、第1章を読むだけで長安の住民を装えそうです。
当時、中国大陸にあった唐は、今でいう米国のような、世界の超大国です。
唐の時代は、日本では飛鳥、奈良、平安時代に当たります。当時の日本の人々も、この世界帝国に憧れ、同時に畏怖しました。今の日本人が米国に憧れて、スタバで意味もなくマックを開くように、当時の日本人も唐の人々を真似て春に散る花をみて歌を詠みました。
超大国なので、当然人口も多いです。
詩人岑参(しんじん)の詩句に、
長安城中百万家 長安城中百万の家
があり、戸数二〇万で、一戸あたり五人として、たしかに一〇〇万の人々が住んでいたという。これは一〇〇万都市として当時世界最大の人口を有すると同時に、東西南北各地からの外国人の来り住む者も多く、まさに「唐の都」というにふさわしい国際都市であった。
(本書P25)
Wikipediaの「東京都」によれば、2021年の東京都の人口は約1400万人ですが、当時は100万人で世界最大の都市人口です。今の日本で100万人都市はどこだろうと気になったので調べてみると、2021年現在、
仙台
が、人口約100万人でした。
長安のあった場所は今の中国では西安と呼ばれますが、Wikipediaの「西安市」によれば、2018年における西安市の人口は約1000万人です。もちろん土地的に長安イコール西安ではないので単純には比較できないですが、目安として当時の人口の約10倍です。
第1章では長安という大都市について、人口のこと以外にも具体的かつ詳細に記述されています。読んでいると有能な観光ガイドに長安を案内してもらっているかのような気分になります。
第1章だけで長安通になれますよ。