絶対不安定とは?超わかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】

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『イラスト図解 よくわかる気象学』(中島俊夫著)を使って気象予報士試験対策をしています。

今回は、絶対不安定について勉強しました。 

大気が不安定とは?

軽い暖かい空気が下にあって、重い冷たい空気が上にある状態を大気が不安定な状態といいます。

この状態だと、この二つの空気が入れ替わろうとし、縦方向の空気の流れ(対流)が生じます。

逆に、重く冷たい空気が下にあり、軽く暖かい空気が上にある状態を大気が安定な状態といいます。

高度の違う空気の温度はそのまま比較できない

しかし、例えば、地上の空気が10℃で、高度1kmの空気が7℃である場合、単純に大気が不安定である、ということはできません。

なぜなら、空気の温度は高度をそろえて比較する必要があるからです。

90歳のお爺ちゃんと20歳のお兄さんのどちらがハンサムか、と比較するのがフェアでないように、高度の違う空気の温度をそのまま比較することはできません。

そこで高度をそろえるために、地上の空気を高度1kmまで引き上げた場合の空気の温度を考えます。

乾燥断熱変化と湿潤断熱変化の2パターンの空気の上昇

空気は上昇すると温度が低下しますが、空気が湿っているか湿っていないかで温度の下がり具合が違います。

湿っていない場合は、100m上昇するごとに1℃低下していき、これを乾燥断熱変化(かんそうだんねつへんか)といいます。

湿っている場合は、100m上昇するごとに0.5℃低下していき、これを湿潤断熱変化(しつじゅんだんねつへんか)といいます。

上に挙げた例(地上の空気が10℃、高度1kmの空気が7℃)において、まず乾燥断熱変化だとして地上の10℃の空気を引き上げると、100mごとに1℃低下するので、高度1kmでは0℃になります。

また、湿潤断熱変化だとすると、100mごとに0.5℃低下するので、高度1kmまで引き上げると温度は5℃になります。

こうして高度をそろえて比較した場合、乾燥断熱変化と湿潤断熱変化のいずれの場合を通しても、地上の空気は高度1kmにあった空気(7℃)よりも冷たかったことがわります。

よって、一見不安定に思われた大気は、実は安定だったといえるのです。

絶対不安定とは?

絶対不安定(ぜったいふあんてい)とは、乾燥断熱変化と湿潤断熱変化のいずれの場合でみても、下の空気が軽く暖かく、上の空気が重く冷たい状態(つまり大気が不安定)をいいます。

例えば、地上の空気が20℃、高度1kmの空気が8℃である場合を考えてみます。

フェアに温度を比較するために、地上の空気を高度1kmまで引き上げた場合の温度を考えます。

乾燥断熱変化(100mごとに1℃低下)だと、地上で20℃であった空気は、高度1kmでは10℃になります。

この場合、下の空気は、上の空気(8℃)よりも暖かかったことになり、大気は不安定な状態であるといえます。

一方、湿潤断熱変化だと、地上で20℃であった空気は、高度1kmでは15℃になります。

この場合でもやはり、下の空気の方が暖かかったことになり、大気は不安定な状態です。

以上より、乾燥断熱変化と湿潤断熱変化のいずれの場合で比較してみても、地上の空気の方が暖かいことがわかりました。

この状態が絶対不安定です。

乾燥断熱変化と湿潤断熱変化の違いは、凝結(水蒸気が水滴に変わること)が生じるか生じないかの違いです。

だから、高度をそろえて空気の温度を比較する場合に、凝結の有無に関わらず大気が不安定な状態絶対不安定といえますね。

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