古文の「奉る」の意味の覚え方~「奉る」がエレベーターになりました~

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奉る? xは実数? ハッ。っていうこのスタンス

古典で出てくる「奉る(たてまつる)」は知っていますか?

たぶん、多くの人にとっては、「知ってる・・・というか、よく見かけるけど、詳しくは知らない。平安弁?」くらいの理解度ではないでしょうか。

例えば、数学の問題文の最後にそっと置かれる「ただし、xは実数とする」。この一文に対するのと同じように、読むことは読むけど、深く関わると面倒くさそうだからあまりガン見はしない、というポジション。

あるいは、ポリシー。

現実を直視しないという姿勢は、それはそれで楽です。学生の間なら、それもいいかもしれません。しかし、現実というものは厳しく、多くの場合、逃げ切ったと思われても、それはいつか私たちの目の前に立ちはだかります。忘れた頃に・・・

 

「かあちゃーん、とうちゃーん、「たてまつる」ってどういういみ~???あと「xは実数」って~???」

 

(ちっ。「奉る」、「xは実数」。当時はうまく逃げ切ったと思ってはいたが、おばはん(おっさん)になった今にまで、追いかけてくるとは・・・、無念じゃ~)

 

無念じゃ~ !!

 

と、こうならないで済むように、今回発明したのが、古典の「奉る」の意味を簡単に覚えられるすぐれもの、

その名も「タテマツレーター」です。

これは「奉る」と「エレベーター」を掛け合わせた筆者の造語です。一種のエレベーターではありますが、現実には存在せず、あくまで観念的なエレベーターです。

平安弁?は面倒くさい

このタテマツレーターに「身分の高い人」か、「そうでもない人」が乗ることになるのですが、ちょっとその前に「奉る」の意味を確認。「深く関わると面倒くさそう」というあなたの勘は正しくて、実際、意味がいくつもあって、無理に覚えようとするとハゲそうになります。

これです。

差し上げる〔「与ふ」の謙譲語〕

(お)~申し上げる〔謙譲の補助動詞〕

お召しになる〔「着る」の尊敬語〕

召し上がる・お飲みになる〔「食ふ」「飲む」の尊敬語〕

お乗りになる〔「乗る」の尊敬語〕

『読んで見て覚える重要古文単語315』のP236より)

どうですか?

はなはだしき面倒くささです。まず、尊敬語と謙譲語が混じっているというのがムリです。意味に共通性も見出しにくく、覚えずらいです。

でも、心配は無用。「タテマツレーター」があれば、比較的、短時間かつ楽に記憶に残すことができます。

ただし、タテマツレーターの利用には、尊敬語と謙譲語(けんじょうご)の違いを理解しておく必要があります。

ここで今一度、確認しておきましょう。

尊敬語と謙譲語の違い

尊敬語と謙譲語の違いは、それぞれ一言で説明すると、次のようになります。

尊敬語・・・相手を高めて、敬意を表す言葉。

謙譲語・・・自分を低めて、相手に敬意を表す言葉。

イメージとしては、高さの上げ下げ自由な椅子。

尊敬語は、相手の座っている椅子をぴゅーっと上げ、こっちの椅子よりも高くして、相手に敬意を表す。

一方、謙譲語は、相手の椅子の高さはそのままで、こっちの椅子の高さをしゅーっと低くして、結果的に相手の位置を自分よりも高め、敬意を表す。

いずれにしても、尊敬語の謙譲語は、「相手に敬意を表す」ための言葉です。

「身分の高い人」をタテマツレーターに乗ってもらう

さて、尊敬語と謙譲語の意味をマスターしたところで、タテマツレーターの登場です。まず、この架空のエレベーターに「身分の高い人」(例えば、聖徳太子のような人)が乗り込むところを想像してみましょう。するとそのエレベーターはぴゅーっと上がっていきます。そして、エレベーターの中でその「身分の高い人」は何をするかというと、飲み食いをしたり、服を着替えたり、馬に乗ったりします。「衣食住(いしょくじゅう)」という言葉がありますが、ここでは「衣食乗(いしょくじょう)」です。

ぴゅーっと上がって(尊敬)、衣食乗。

はい、これで上で引用した下三つの意味が、覚えられました。

お召しになる〔「着る」の尊敬語〕

召し上がる・お飲みになる〔「食ふ」「飲む」の尊敬語〕

お乗りになる〔「乗る」の尊敬語〕

これらの尊敬の言い回しにおいて、行為をする人はすなわち「身分の高い人」なので、主語は当然「身分の高い人」です。例えば「帝(みかど)」など。だから、主語が「身分の高い人」で「奉る」ときたら、上の三つの意味、衣食乗のいずれかの意味を当てはめてみましょう。

「身分の低い人」にタテマツレーターに乗ってもらう

では、次にタテマツレーターにどちらかといえば「身分の低い人」に乗ってもらいます。彼あるいは彼女は、腰を低くして、うやうやしくタテマツレーターに乗り込みます。するとタテマツレーターは、「身分の高い人」が乗った場合とは逆に、しゅーっと下がっていきます。そしてその中で「身分の低い人」は何をするかというと、giveしたり(give=与える)、「お~申し上げる」のです。

はい、これで上で引用した上二つの意味が覚えられました。

差し上げる〔「与ふ」の謙譲語〕

(お)~申し上げる〔謙譲の補助動詞〕

ぴゅーっと下がって(謙譲)、「give」or「お~申し上げる」。

おいおい、「衣食乗」みたいにもっと覚え方工夫できんかったんかい、と思われたかもしれません。

できませんでした。

残念ですが、この二つだけは「give」と「お~申し上げる」とそのまま覚えてください。

ちなみに、「give」したり「お~申し上げる」のは「身分の低い人」なので、主語は当然「身分の低い人」です。だから、主語が「身分の低い人」で「奉る」ときたら、この二つの意味を当てはめてみましょう。

※「身分の低い人」といっても、それは相対的な問題です。「部長」といえば一般的に「高い身分」ですが、「社長」と比べた場合は「低い身分」です。それと同じように、たとえ大臣であっても、帝に対してだと「身分の低い人」となります。

まとめ

タテマツレーターに「身分の低い人」が乗るとしゅーっと下がる(謙譲)。意味は、「give」or「お~申し上げる」。主語は「身分の低い人」。

差し上げる〔「与ふ」の謙譲語〕

(お)~申し上げる〔謙譲の補助動詞〕

タテマツレーターに「身分の高い人」が乗るとぴゅーっと上がる(尊敬)。意味は、衣食乗(いしょくじょう)。主語は「身分の高い人」。

お召しになる〔「着る」の尊敬語〕

召し上がる・お飲みになる〔「食ふ」「飲む」の尊敬語〕

お乗りになる〔「乗る」の尊敬語〕

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