源氏物語のわかりやすいおすすめの現代語訳はこれ!〜大塚ひかり氏の解説が面白い〜

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今、光源氏で有名な源氏物語を読んでいます。 

大学生の頃に瀬戸内寂聴氏の訳で挑戦したことがあるのですが、登場人物たちがことごとく情にもろく、やたらとめそめそばかりしているのに正直イライラして挫折しました。心身ともに貧弱な登場人物があまりに多いので、中学校のめっちゃ厳しいバスケ部にでも入って精神鍛え直したらええのに、とか思ってました。 

でも、最近になってやっぱり一度は読んでおきたいなと思って買ったのが、古典エッセイストをされている大塚ひかり氏のこの現代語訳です。 

源氏物語 全6巻セット

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これがまた楽しい現代語訳になっているのです。読み始めてすぐに、読み通せそう、と直感しました。

特徴としてまず挙げられるのが、現代日本人が読んでいてピンとくるような日本語表現が多用されている点です。

左馬頭という登場人物の一人が、自らの女性体験を語るときの出だしを少し引用してみます。

「以前、まだほんのペーペーでございました頃、愛しく思う人がおりました。申し上げた通り、顔だちなどはさほど良くもありませんでしたから、若気の至りの浮気心で、この人を終生の妻にしようとも思いませんで、頼りになるとは思いながら、物足りなくて、何かと遊んでいたのです」

(第1巻P81より)

この「ペーペー」というのは新鮮でした。「ペーペーでございました頃」の「ペーペー」と「ございました頃」のギャップが面白く、思わず笑ってしまいました。ネット掲示板2ちゃんねるでみかける「教えろください」にどこか通じるものがあります。

また、1シーン1シーンごとに「ひかりナビ」と呼ばれる丁寧な解説が配置されているのが、助かります。

現代人の感覚では理解しにくいところも、この解説に目を通せば腑に落とすことができます。例えば、登場人物の心理、仏教用語、小道具、当時の風習、歌の出自などに関する解説、タネ明かしが丁寧に記述されています。 

この数ページごとに配置された「ひかりナビ」が、読んでいるうちにまた癖になってくるのです。物語の本文の方は、情緒的で、暗示的で、遠回しな表現が多く、正直状況がイマイチつかめないということが、けっこうあります。

でもその後にすぐある解説を読むことで、書かれていた内容が明快に理解でき、モヤモヤをすっきり解消してくれます。

ここでは具体的には書けませんが、解説も単刀直入で過激で、面白いです。

小説家の村上春樹氏がどこかで使っていた比喩を借りて言えば、ちょうどチョコレートと塩せんべいを交互に食べていくような感覚です。甘い本文のチョコレート部分が終わったら、塩せんべいの「ひかりナビ」があって、次にまたチョコレート・・・という風に続き飽きが来ません。

源氏物語は、聖徳太子、楊貴妃、玄宗皇帝、弥勒菩薩、長谷寺、法華経、史記、白氏文集、蓬莱の山など、詳しく知っている人が読むとニヤっとしてしまうような、古代日本と中国の定番ワードがゴロゴロ登場するので、そういう方面の知識があるとより楽しめると思います。

以上、古典が得意というわけではないけれど、一度は読んでおきたいという人におすすめの超読者フレンドリーな大塚ひかり氏の源氏物語訳の紹介でした。

おすすめです!

源氏物語 全6巻セット

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