まだ気象学を学び始めた頃、温帯低気圧と温暖前線が頭の中でごちゃまぜになって混乱したことがあったので、その違いをここにまとめておきます。
温帯低気圧とは?
温帯低気圧とは、主に中緯度の温帯で発生する、低気圧のことです。
下の図の「低」と表示されているのものが温帯低気圧です。
温暖前線は、この温帯低気圧に多くの場合伴う前線のことで、図では赤い線に赤いお椀が三つ付いたように表されています。
ちなみに、青い(黒?)線にとげが付いたように表されているものは寒冷前線と呼ばれます。
では、前線とはいったい何でしょうか?
(頭痛ーる:気圧予報で体調管理より)
前線とは?
前線とは、簡単にいえば、暖かい空気と冷たい空気の境目のことです。
もう少し厳密にいうと、次のようになります。
暖気(暖かい空気)と寒気(冷たい空気)という性質の違う空気は、水と油のようにお互い混じり合おうとしません。
人間関係では、性格の異なる二人が、間に見えない壁を作ってしまうことが多々あります。
暖気と寒気にも、そうした壁のようなものが存在します。
それが前線帯と呼ばれるもので、下の図がそのイメージです。
この前線帯の暖気側に接する面を暖気側の前線面といい、寒気側に接する面を寒気側の前線面といいます。
(図では「前線面」と書かれた面が暖気側の前線面。書き込めませんでしたが、その裏側が寒気側の前線面です)
前線帯がわかれば、前線の理解は簡単です。
前線とは、暖気側の前線面と地上が接するところが前線です。
図中の青い線が前線です。
それでは、温暖前線とはいったい何でしょうか?
温暖前線とは?
温暖前線とは、暖かい空気が、冷たい空気をはい上がるようにして、空気全体を押し進めていく前線です。
暖気は軽く、寒気は重いので、前者が後者を乗り上げていくのです。
以下のイメージです。
温暖前線の特徴
温暖前線は、暖かい空気の勢いが冷たい空気よりも強いのが特徴です。
なので、上の写真では、全体として右側へと前線は進んでいきます。
そして、暖気が寒気をはい上がる時に雲(乱層雲)が生じ、それがしとしととした雨、すなわち地雨(じあめ)を降らします。
ちなみに寒冷前線の場合は、寒気が暖気の下に潜り込むようなかたちで、暖気が上に持ち上げられ、その傾斜が温暖前線に比べて急なので縦方向に伸びる雲である積乱雲ができます。
その積乱雲は、いわゆるにわか雨を降らします。
寒冷前線のイメージ↓
温暖前線は、暖気が寒気に乗り上げたときにできる傾斜が比較的緩やかなので、水平方向の雲である乱層雲(いわゆる雨雲)ができるのです。
まとめ
結局、温帯低気圧と温暖前線の違いは次のようにまとめることができます。
温帯低気圧とは、主に中緯度の温帯で発生する、低気圧のことであり、温暖前線はその温帯低気圧に多くの場合に伴う、暖気が寒気を乗り上げるかたちで生じる前線のことです。