if節にwillが使えるか使えないかどうか、ネイティブの視点から簡単な例文で解説された『続 日本人の英語』byマーク・ピーターセン

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一時中断していましたが、『続 日本人の英語 (岩波新書)』をまた読み進めました。

今回読んだのは、P123~130の「遅れることになったら電話する――未来形」と題された部分。

もしマーク・ピーターセン氏が大阪生まれの大阪育ちだったら、「行けたら行くわ――未来形」となっているところです。

冒頭は、ピーターセン氏がある特別講義で「If I'll be late, I will call you.」という例文を使った際のエピソードから始まります。

その時の質問時間に、「If I am late, I will call you.」は文法的に正しいが、「If…」の条件節には未来形を使わないと教わった、というようなことを言われたそうです。

氏によれば、「If I am late, I will call you.」も「If I will be late, I will call you.」も存在するといいます。ただ意味が大分違うだけである、と。

このことに関する氏の説明は、以下のようなものです。

その意味の違いを明らかにする例,ケースAとケースBを考えよう.

ケースAは,「もし,最終電車に間に合わなかった場合,友だちに駅まで車で迎えに来てもらって,そして家まで送ってもらえるように,電話する」ケースである.

この場合は,前もって,友だちに

If I am late(for the last train), I will call you.(遅れてしまって間に合わなかったら,電話する.)

と言っておく.

ケースBは,「今晩7時に彼女に会う約束をしているが,もしかすると,今日,新しい仕事が入ってくるかもしれない.その場合,約束の時間に間に合うはずがないので,その仕事が入ってきた時点で’’ちょっと遅れるから’’と彼女に電話しておく」ケースである.この場合は,前もって,彼女に

If I will be late, I'll call you.

と言っておく.

つまり,’’If I am late, I will call you.’’は,「遅れてしまったら,電話する」ということである.それに対して「遅れることになったら,電話する」ということならば,’’If I will be late, I will call you.’’と言える.

(マーク・ピーターセン著『続 日本人の英語』(岩波新書)P124より)

正直に言うと、最初に読んだときは、よく理解できなかったです。で、じーっと考えてようやく腑に落とすことができました。

これは未来を念頭においた条件節のIf...だから「未来だ、willだ」思い込んでしまい、混乱してしまうのです。

ひとまず「未来」を横に置き、自分がIfの世界に入り込んでみるといいです。If、すなわち「もしも」の世界に自分の身を置くわけなので、それは現在みたいなものです。

そうするとケースAなら「最終電車に間に合わなかった場合」というのは、すでにlateの状態です。自分はIfの世界に今現在いるので、遅れています。だから「If I am late...」になります。

一方、ケースBの場合は、仕事が入ってきた時点ではまだ遅れていません。遅れるのは確実ですが、それはIfの世界に身を置いた自分にとってはまだ未来のことです。だから「If I will late...」。

どうでしょうか?

自分はこのように考えてやっと腑に落ちました。

つまり,’’If I am late, I will call you.’’は,「遅れてしまったら,電話する」ということである.それに対して「遅れることになったら,電話する」ということならば,’’If I will be late, I will call you.’’と言える.

これは引用文の最後の3行ですが、「遅れることになったら,電話する」の部分を、「遅れるようなら,電話する」と変えてみると、さらにわかりやすいかもしれないですね。

仕事が入ってきた時点で遅れることが確実なので「遅れることになったら」なのでしょうが、理解の都合上、「遅れるようなら」と考えても問題はないと思います。

今回はちょっと理解に時間がかかりましたが、『続 日本人の英語 (岩波新書)』は本当に面白く、色々な発見があります。英語の上級者でも楽しめると思うので、ぜひ一度読んでみてください。