英語の現在時制の用法に習慣的行動も未来を表す現在時制もない!あるのは「現在の状態」だけ

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マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』の「金が物を言う―現在形」を読了。

内容は、英語の現在形について。

英語の現在時制の用法は、意外に多い。「習慣的行動」、「現在の状態」、「一般的な事実や真理」、「未来を表す現在時制」などである。

しかし、本書では、現在時制の論理は一つだとする。それは、とどのつまり現在時制はどれも「現在の状態」を表しているというもの。

例えばP116に、次の例文が挙げられている。

I read the newspaper every day. (毎日新聞を読んでいる.)

これは、現在時制の用法の一つ「習慣的行動」に当たるものだ。しかしこの文も、「新聞を毎日読む状態に入っている」と理解してもよいとする(P116)。

「一般的な事実や真理」については、同ページに以下の例文が挙げられている。

Trees live longer than human beings.(木の寿命は人間の寿命より長い.)

この文が表すいわゆる「事実」も、将来はどうなっているかわからない。未来の人間は木より寿命が長くなっているかもしれない。だから、「事実」とはいっても、「今の状態」にすぎないわけだ。

つまり,現在の事実を現在形で表現するのは,それは事実だからではなく,現在の状態を表わしているからである.

(マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書)P117)

「未来を表す現在時制」については、P118に以下の例文が挙げられている。

The ship from Istanbul arrives at the Port of Yokohama tomorrow.(イスタンブールからのその船は明日横浜港に着く.)

未来を表すこうした文も、「今予定に入っている状態」(P118)と考えることができる。

結局、現在時制の用法である「習慣的行動」、「一般的な事実や真理」、「未来を表す現在時制」はいずれも「現在の状態」を表していると考えられるのだ。

ところで、いわゆる「一般的な事実や真理」は現在形で表されるが、これが「時制の一致の原則」と衝突する場合がある。

例えば、次の空欄に入るのはisだろうか、それともwasだろうか?

We learned the Earth ( ) round.

私たちは地球が丸いということを学んだ。

結論を先に言うと、空欄にはisが入る。

従位節の時制は主節に合わせる、という「時制の一致の原則」に従えば、主節のlearnedの過去時制に合わせて、従位節もthe Earth was roundとしなければならない。

しかし、「一般的な事実や真理」は現在形という原則と、時制の一致の原則が衝突する場合、前者が優先される。

だから、空欄にはisが入り、

We learned the Earth is round.

私たちは地球が丸いということを学んだ。

となる。

時制の一致の原則には反しているが、これでいいのである。

「金が物を言う―現在形」では、英語の現在形について、「過去を表す現在時制」や「現在完了の代用となる現在時制」についても解説されている。興味のある方は『続 日本人の英語』でどうぞ。