expectは「期待する」という意味ではない?英語のexpectの基本的ニュアンスと意外な使い方

スポンサーリンク

マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書)のP101~112を読了。

アメリカの古典映画『カサブランカ』の台詞を一部取り上げて解説している。

ショップの名作映画コーナーでよくDVDで売られているが、見たことはない。恋愛もののようだが、1942年の作品なので、自分にはちと古過ぎ食指が動かない。

それはいいとして、今回本書を読んで新発見だったのはexpectの解説。多くの人が「期待する」という意味の単語として覚えると思うのだが、この訳はあまり適切とはいえないようだ。

「期待する」という言い方には、何かを楽しみにするようなポジティブなニュアンスがある。しかし、expectは感情中立的な単語のようである。

しかし,expectは,とくにhopefulでもunhopefulでもなく,単に中立的な表現で,「予期する,あるいは,当然なこととしてそうなるだろうと思う」という意味に近い.”We expect a war."といえば,戦争を期待しているわけではない.予期しているだけである.

(マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書)P106)

ただ、これは"I never expected to see you again"という『カサブランカ』の台詞の解説の中で書かれていることなので、文脈によっては「期待する」と訳すこともできるのかもしれない。

実際、手元にある二冊の英和辞典でexpectを調べると、どちらにも「期待する」という意味は掲載されている。

『アンカーコズミカ英和辞典』(P633 expectの項目)には、次のような記述がある。

予期する》(1)が基本義.よいことにも悪いことにも用いる.元来ラテン語の原義には「待ち望む」の意味もあり,「期待する」(2)はそれに由来している.

最後にもう一つ、expectの意外な意味を紹介しよう。実はexpectは、be expecting (a baby)で「出産予定である」という意味になる。

be expecting (a baby) 出産予定である

「妊娠している」という意味の英語にpregnantがあるが、be expectingはそれを遠回しに言ったものだ。

She is expecting a baby in December.

彼女は12月に出産予定だ。

本文では、"I never expected to see you again"の、ニュアンスの対照的な二つの日本語訳が紹介される。

単語のニュアンスを理解しておくことの大切さのわかる解説だと思う。気になる方は、『続 日本人の英語』でどうぞ。