meanの受動態be meant forやbe meant to beの隠れ主語は神?その意味と使い方をマスター

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マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』P1~12を読了。

前半部分は、「えらい」という日本語について。

「えらい」は日本のある種の価値観が基礎にある表現なので、英語に置き換えるのはなかなか難しいというお話。同様に、「悔しい」も翻訳の難しい日本語として紹介している。

「えらい」や「悔しい」という価値判断や感覚は、日本で日本語を使って普通に暮らしていると、当たり前すぎて、それが日本(あるいはアジア?)特有のものであるとは気づきにくい。

こういう、当たり前と思われているものが実は当たり前ではないと気づかせてくれるのが、外国語や外国文化を学ぶ上での醍醐味の1つだと思う。

後半は、英語のmeanに話が移る。meanは「~を意味する、~を意図する」といった意味を持つ基本単語の1つ。

例えば次のような英語は、英会話では頻出だろう。

What do you mean?

それってどういう意味?

ただ、英会話で使っても、その返事の説明が聞き取れず、ますます意味不明になるのはよくあるパターンである。これは、「説明」で使われる言語表現が普通、その説明の対象よりも、長く複雑になるからだろう。

それはいいとして、面白いと思ったのが、受動態で使われるmeanの隠れ主語の話。

本書では、『雨に唄えば』という古いミュージカル映画に登場する歌の一節、You were meant for meが取り上げられている。「君は僕の運命の人」くらいの意味だが、これだと日本の古文の和訳のように、どうしてそういう意味になるのかわかりにくいと思う。

まず、be meant for Aは、「Aを念頭に置いたものである、A向きにできている」という意味だ。だから、先の英語を直訳すると、「君は僕向きにできている」となる。このヒドい言い方をもう少し改めると、「君は僕のためにこの世に生まれてきた」となるだろう。結局、「君は僕の運命の人」である。

こういう受動態のbe meantには、どこかに主語があるはずである。本書によれば、その主語とは万物の生みの親、すなわち「神」であるそうだ。

この場合,meanは「何かのつもりで何かをする」ということである.たとえば,普通の英会話で,

Here, I meant this for you.

と言えば,相手にあげるつもりで買ってきたという意味で「どうぞ,お宅にさしあげたいと思って」というような日本語の感じに近いであろう.”mean”の受動態の多くの場合,その「つもり」をもつ,背景にある主語は「運命」,あるいは,もっと厳密に言えば「造物主」である.「神」である.

(マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)P10~)

つまり、meanには「~を意図する」という意味があるが、受動態のbe meantで意図している主体は「神」であることが多いということ。いわゆる「神の思し召し」ということなのだろう。

実は、以上のようなことは、辞書にもさらっと書かれているものである。

mean A to do)(神・運命などが)Aが・・・するように運命づける(►通例受身形で用いる).ーPerhaps he was meant to be a poet. たぶん彼は詩人に生まれついていたのだろう.

(『アンカーコズミカ英和辞典』(学研プラス)P1154)

前作の『日本人の英語』も面白かったが、『続 日本人の英語』も期待を裏切らない予感。興味のある方はどうぞ。