マーク・ピーターセン『日本人の英語』、パート20の内の19を読了。
パート19は、因果関係を表す接続詞について。
soは口語的
「だから」という意味のsoから解説が始まっているが、これはだいたい想像していた通りの内容。口語的で接続詞の普段着のイメージを持っていたが、本書でもsoは日本語でいうなら「だから」と「だからさ」の中間くらいだとしている。(P173)
becauseとsinceは洗練されていない?
「~なので」という意味でお馴染みのbecauseは、論文で使うのにはちょうどいい堅さだとしている。
一方で、表現として素朴で、洗練性に欠ける欠点もある。これは同じく理由を表すsinceにも当てはまる(P173)
本書では述べられていないが、becauseとsinceには違いもある。becauseが新しい情報として原因、理由を表すのに対し、sinceはお互いにすでに知っている理由を述べる際に使う。
「お互いにすでに知っている」とはどういう状況かというと、例えば2人が相対してふざけあっているときの「お前が笑かすから牛乳吐いちゃったじゃねーかよ!」である。笑かした事実は2人とも知っている状況なので、こういう場合はsinceを使う。
文学的なfor
「というのは~だから」と日本語で表される、補足的な理由や判断の根拠を表すforというのもある。これは確か高校英語で習うものである。
辞書を開いても、次のような例文が載っていたりする。
I decided to stop and have lunchーfor I was feeling quite hungry.
私は休んで昼食をとることに決めたーというのはとてもおなかがすいていたから
(『アンカーコズミカ英和辞典』(学研プラス)P718)
こうした用例を見ると、理由や根拠を表すforは普通の会話で使えそうに思える。が、実は文学的な表現で、口語としては今ではほぼ使われないようだ。
(4)文学や恋文などを書いていないかぎり,”I cannot forget her, for no one has ever filled my heart with such delight.”(私は彼女を忘れることがきない.それは,誰もあのような喜びで私の心を満たしてくれたことはないからだ.)のような”for”を使わないこと.
(マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)P175)
お堅いas
原因、理由を表す接続詞としてasというものもある。言いやすいので、soのように口語的な表現なのかと思いきや、かなり堅めの言い回しであるようだ。
Because......に比べれば,
As I hadn't managed to get much sleep the night before, I decided to go to bed early for a change.
の”As”はやや古風で,英国めいているような,”Since......””Because......”よりさらに改まった感じがする.
(同書P172)
古風で、日本語の「~なので」に当たるbecauseより改まった感じであるなら、「~ゆえ」あたりのイメージかもしれない。
例えば上の英文を「前の晩はあまり睡眠をとれなかったゆえ、いつもと違い早めに寝ることにした」と訳すとする。
この「ゆえ」は、「やや古風で漢文めいているような、「なので」よりさらに改まった感じがする」などといえなくもないと思う。
また、asは言い回しとして堅いだけではない。asには「~するにつれて」という意味もある。紛らわしさを回避するため、原因、理由を表すasは極力使わないのが無難であるかもしれない。
パート19では他にtherebyとthusの違いなどについても解説されている。興味のある方は『日本人の英語』でお楽しみを。