英語のespeciallyは文頭に出したらアウト?その意味と使い方が例文とともにわかりやすく解説された『日本人の英語』

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マーク・ピーターセン『日本人の英語』、パート20の内の17を読了。

パート17は、副詞について。

特に、especiallyについての解説が面白かった。

この語は、「特に、とりわけ」という意味の基本単語の1つである。しかし、日本語の「特に、とりわけ」と同じ感覚で使ってしまうと、そこに落とし穴がある。

著者は、以下の例文で解説する。

「この20年間,日本の大学は大分変ってきた.特に,都心のキャンパスから郊外に移ったことによる変化は目立つ.」

(マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)P152)

この日本語の内容を英語で書く場合、日本人はとかく次のようにしがちであるという。

Japanese universities have changed greatly in the last twenty years. Especially, changes stemming from mid-metropolitan area campuses' moving to the suburbs have been conspicuous.

(同ページ)

・stem from~ ~に起因する

・conspicuous 人目をひく、顕著な

especiallyのこうした使い方は、英語にはないとする。それは、この語がコンマで仕切られて自立した句として働くことはないからだという。

どうだろうか?英語を書くとき、日本語の「特に、とりわけ」の感覚でespeciallyをコンマで仕切った文頭にぶち込んではいないだろうか。

自分は、海外の人とチャットをする際によくこの使い方をしていた。たいてい相手が英語圏の人間ではないからか、間違いを指摘されることがなく、今まで疑問に思うこともなかった。その誤りを知れただけでも、本書を買った甲斐があった・・・とまではいかないが、なぜ日本人が犯しがちなこの基本的間違いを指摘する人を今まで見かけなかったのだろう、と不思議には思う。

実際、especiallyを間違って使う日本人は極めて多いらしく、著者も次のように書いている。

私の添削の仕事でいえば,このような”especially,......”が一度も現れてこない論文は滅多にみかけないくらいである.

(同書P153)

さて、問題ははっきりしたとして、それをどう解決するかが重要である。これは簡単で、とりあえずは、文頭のespeciallyをIn particularに置き換えれば、英語にはなるという。

In particular, changes stemming from mid-metropolitan area campuses' moving to the suburbs have been conspicuous.

(同ページ)

では、especiallyはどう使えばよいのかというと、先に書いたように自立した句としては使えないので、形容詞的に使う。

Changes stemming from mid-metropolitan area campuses' moving to the suburbs have been especially conspicuous.

このespeciallyはconspicuousにかかっている。

では、主語を修飾する場合ならespeciallyも冒頭にくるのかというと、そうではないらしい。英語の辞書には次のように書かれている。

Young children, especially, need a lot of attention. 幼児はとりわけ手がかかる.【語法】 especially は通例修飾する語句の直前に来るが,このように主語を修飾する場合は主語の直後に来る.

『アンカーコズミカ英和辞典』(学研プラス)P612especiallyの項目)

どうやらespeciallyはシャイな単語であるらしく、先頭には出たがらないようだ。では絶対に文頭に出てくることはないかというと、そうではない。

especiallyもいつも後ろに引っ込んでいるわけにもいかないのだ。時には先頭に引っ張り出されるときもある。

それがどんな場合かは『日本人の英語』で説明されているので、続きは本文でお楽しみを。