関係代名詞の先行詞が離れる場合に生じる問題について超わかりやすく簡単に解説された『日本人の英語』

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マーク・ピーターセン『日本人の英語』のパート20のうちの15を読了。

パート15は、関係節の先行詞について。

具体的には、文の内容が示していると思われる先行詞と、文法上の先行詞の不一致の問題について解説している。

そうした問題の例として、以下の例文が挙げられている。

The number of mirrors is usually two, which are positioned to face in opposite directions.(鏡の数はふつう二つであり,それは向かいあわせに置いてある.)

(マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)P130)

この英文では、内容が示していると思われる先行詞はmirrorsである。しかし、whichの位置が示す文法上の先行詞はtwoになる。

が,位置的に”two”は”which are positioned”の直前であるので,「二つという数そのものが向いあわせに置いてある」といおうとしているかのようにみえて,おかしい.

(同書ページ)

この問題を著者は、関係代名詞を使うことをやめることによって解決する。つまり、以下のように書き換えるのである。

The number of mirrors is usually two, and they are positioned to face in opposite directions.

(同書P131)

ただ、訂正前の例文について、個人的に疑問に思ったことが1つある。

本書によれば、例文内のtwoは、「二つの鏡」ではなく、二つという数そのものを表すので、単数であるそうである。それならば、which areのareで先行詞が複数であることがわかるので、先行詞を単数であるtwoと考えることはないのではないか、という点である。

本書では「「二つという数そのものが向いあわせに置いてある」といおうとしているかのようにみえて,おかしい.」と書いてあるだけで、間違っているとは書いていないけれど。

この後、意味上の先行詞と文法上の先行詞の不一致の問題について、例文を使った解説がさらに続く。

解決策としては、著者は2つの方法をおすすめしている。

1つは、上で見たように、関係代名詞を使わない、という方法。

もう1つは、関係節に先行詞を補う、というやり方である。

先行詞を補う解決策について知りたい方は『日本人の英語』でどうぞ。

挙げられる例文は、英語の得意な高校生レベルでないとやや難しく感じるかもしれない。けれども、普通の英語の参考書が中心に据えないような問題について詳しく解説されており、貴重な1冊だと思う。