関係代名詞の制限用法と非制限用法がスゴい例文で超わかりやすく簡単に解説された『日本人の英語』

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マーク・ピーターセン『日本人の英語』、パート20の内の14を読了。

パート14は、関係代名詞の制限用法と非制限用法について。

制限用法と非制限用法は、文章では一見コンマの有無の違いだけだが、その意味には大きな違いがある。

それは本書で挙げられた以下の例文でわかると思う。

The Nobel Prize which I received last year was a great honor.

(マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)P122)

これは関係代名詞の制限用法による英文である。日本語では、「私が去年受賞したノーベル賞はとても光栄でした」(同ページ)となり、違和感はない。

しかし原文では、「私」はノーベル賞を以前にも受賞したことがあるが、去年の受賞は光栄だった、という意味合いになる。実際に以前にも受賞したことがあるなら、上記の書き方でもよいが、それでもやや傲慢な響きはある。

去年の受賞が初めてのものなら、正しくはコンマを補い、

The Nobel Prize, which I received last year, was a great honor.

(同書P123)

となる。これが、関係代名詞の非制限用法。

制限用法と非制限用法はそれぞれ、しぼりこみ用法と非しぼりこみ用法と考えれば、理解がしやすくなる。

制限用法、つまりしぼりこみ用法は、先行詞をしぼりこむ。上記の例文でいえば、「ノーベル賞はノーベル賞でも、去年受賞したノーベル賞」という風に、複数のノーベル賞の受賞を「去年受賞したノーベル賞」にしぼりこむ。しぼりこむからには、去年受賞した以外のノーベル賞を意識して、それらと比べているような響きがある。

一方、非制限用法、つまり非しぼりこみ用法の関係代名詞は、先行詞をしぼりこんでいるわけではなく、単に補足的な情報を付け加えているだけである。だから、比べているような響きはない

その意味合いを日本語で表現するなら、以下の例文は、

The Nobel Prize, which I received last year, was a great honor.

「私はノーベル賞を受賞したが、それは去年のことだけれども、とても光栄だった」のようになる。「それは去年のことだけれども」は、複数回のノーベル賞受賞をしぼりこんでいるわけではない。単におまけ的に情報を付け加えているだけである。

こういうのを関係代名詞の非制限用法という。制限用法の方は、しぼりこむという操作のある点で何かこだわりを感じさせる表現であるが、この非制限用法ではそのような感じは希薄である。

『日本人の英語』では、非制限用法のコンマは、日本語のカッコだと考えればよいという。カッコに入れても問題ないような意味なら、非制限用法で書く必要がある。

たとえば,「(他の国のものに対して)日本製の電子顕微鏡はかなり正確である」というようなことなら,英語では次のように表現する.

The electron microscopes which are made in Japan are quite accurate.

しかし,別によそのものと比べているわけではなく,ただの「その電子顕微鏡(日本製)はかなり正確である」というようなことなら,英語ではコンマを付けて次のように表現する.

The electron microscopes, which are made in Japan, are quite accurate.

(同書P121)

パート14では他に、関係代名詞について例えば、at whichで書く場合とwhich...atなどのように前置詞を後ろの方に置いて書く場合との違いについて書かれている。気になる方は『日本人の英語』でお楽しみください。