今日头条(中国)というアプリの艺述史というチャンネルで昔の中国の戦争時のトイレ事情について解説した動画を見ました。
三国志などの中国の歴史ドラマを見ていると、将軍たちが大軍を率いてあちこちで戦(いくさ)をしています。
そこで、ある疑問を持つ人がいるかもしれません。
それは、駐屯地などでトイレはどうしているのだろうというものです。
今日は、そのことをテーマにした解説動画を見つけたので紹介します。
その辺で用を足すことの問題点
小便、大便なんて、その辺で適当に済ませればいいじゃない、と思うかもしれません。しかしそれについては、動画でいくつか問題点が指摘されています。
匂い
まずは、匂いの問題。
陣営付近の好きな場所で兵士たちが用を足してしまうと、まず悪臭が一帯に漂うことになります。
伝染病
次に、衛生面での問題。
水源が汚染されたりして、伝染病が軍中で流行る危険があります。
離れた場所で用を足す問題点
離れた場所で用を足すという手も考えられますが、これにも問題があります。
情報漏えい
まず、敵軍のスパイに発見され、行軍の事情が露見する危険があります。
逃亡兵
また、トイレを口実にして逃亡する兵士が出る可能性があります。
昔は兵役を強制されることが普通なので、逃げたいと思っている兵士が多くいても不思議ではありません。
順調な行軍と、兵の排せつを両立させるための工夫
では、これらの問題を避けるため、昔の中国の人々はどのような工夫をしていたのでしょうか?
唐王朝(618~907年)の名将李靖(りせい)は、自身の記した兵法においてトイレについて言及しています。まず、駐屯地に着いてはじめにすることは、穴を掘ってトイレを設営することです。また、その場所は、食料の貯蔵場所や兵舎、水源などから離れた場所でなければなりません。そして駐屯地を出発するときは、ゴミと一緒に燃やし、埋め立てます。
明王朝(1368~1644)の名将戚継光(せきけいこう)は、匂いの問題を解決するためにトイレを風下(かざしも)に設置することを軍に命じました。そしてトイレには専門の管理人を置き、用を足したい兵士は札(ふだ)を提示してトイレを利用しました。
どうでしょうか、意外と現代の常識にも通じる方法でトイレ問題を解決していたことがわかります。
日本では、「中国史&トイレ」というと、漢王朝の開祖劉邦の正妻、呂雉(りょち)が彼の妾であった戚(せき)夫人の手足を切り落とし、その目をくり抜いて便所に放り込んだエピソードを思い出す人が多いでしょう。
でも、今回のような、トイレに関する実務的な話みたいなものも、けっこう興味深いものです。
中国文化に関するおすすめの本
最近では、中国古代の日常生活を細部にわたって明らかにした『古代中国の24時間-秦漢時代の衣食住から性愛まで』(中公新書)という面白い本が発売されました。興味があれば、読んでみてください。
参考:今日头条:「艺述史【古代行军打仗时,想上厕所该怎么办?没你想的那么野蛮】」