材料としての名詞は不可算名詞になるという英文法のポイントを超わかりやすく解説

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マーク・ピーターセンの『日本人の英語』を読んでいます。

20のパートのうち、4を読了しました。

伝わる内容に大きな差が生まれる可算と不可算

パート4は、名詞の可算、不可算についてです。

英語では、可算名詞とするか不可算名詞とするかで、伝わる内容が大きく違ってきます。

そのことは例えば、本書で挙げられているham(ハム)の例文を見るとよくわかります。

つまり,  単数で無冠詞のままの, 

I found ham in the refrigerator.(冷蔵庫にハムがあった.)

のような”ham”は, 塩づけ, または燻製した, 豚の腿肉という意味であり, 極薄切りのスライスであるか, あるいは一つの大きな骨付きの肉塊であるかは全くはっきりしない.

(マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)P31)

ところが、これが

I found a ham in the refrigerator.

などになると、そのhamは、尻と膝の間の肉の厚い部分、つまり豚の腿自体の意味になり、可算名詞になるといいます。

可算か不可算は文脈で決まる

本書では、可算名詞になるか不可算名詞になるかは、文脈による場合が多いとします。

そしていくつかの短文を例にとり、可算名詞や不可算名詞になる理由を説明しています。

ここではそこから3つのパターンを抽出して、その考え方を紹介したいと思います。

材料としての名詞は不可算

一つは、材料としての名詞のパターンです。

This chair is made of bamboo.

この椅子は、竹でできている。

「竹」という意味のbamboo(バンブー)は、複数形にすることもできます。

しかし、ここでは「材料としての竹」が念頭にあるので、不可算名詞として使われます。

竹という「材料」には、1つの決まった形がなく、どこかふわっとしていて具体性に乏しいので、不可算となります。

これは、冒頭で引用した単数、無冠詞のhamのパターンと同じです。

観念としての名詞は不可算

観念というと何やら難しそうですが、「考え方」くらいに思っておけば大丈夫です。

The eggs are sorted according to size.

卵はサイズに応じて分けられます。

sortは「分類する、区分する、えり分ける」、according toは「~に応じて」の意味。

この例文のsizeは、「あのサイズ」や「このサイズ」といった具体的なサイズではなく、単に「モノの大きさ」を示しています。

「モノの大きさ」というのは、人間が作り出した、一種の「考え方」や「見方」です。

それは人々の頭の中に存在する物事のとらえ方にすぎないので、いきなり誰かに「サイズを見せて」と言われても見せようがありません。

そういう意味での観念的なsizeは具体性に欠けるので、不可算名詞となります。

We have 3 sizes for french fries, Small, Medium and Large.

フライドポテトは、S、M、Lの3つのサイズをご用意しております。

この例文のsizeは、あるいくつかの具体的なサイズを示しているので、可算名詞になっています。

前の例文の観念的なsizeの方はそれを具体的に示すことはできませんが、今回の例文のsizeは、3つのそれぞれ決まった大きさのポテトを目の前に出して具体的に示すことができます。

特定の種類を表す場合の名詞は可算

多数ある種類のうちの1つ、あるいはいくつかを示す場合は、本来不可算として扱われる名詞が可算名詞になります。

Bamboo is technically a grass, not a wood.

竹は、専門的には、草であって、木ではない。

「草」としてのgrassや「木材」としてのwoodは本来、不可算名詞です。

しかし、この例文のように、いくつもある草や木の種類の中の1つとして見る場合、いずれも可算名詞となります。

もちろん、多数ある種類のうちの数種類をいう場合は、grssesやwoodsとなります。

 

以上が、最低限おさえておきたい可算、不可算の3つのポイントです。

『日本人の英語』、英語の本質的なところが解説されており、目からうろこの一冊です。興味があればご一読ください。

つまみ読みの面白い文法書

著者のマーク・ピーターセン氏は、『表現のための実践ロイヤル英文法』という文法書にも共著者の一人として参加しています。

つまみ読みの面白い文法書です。

近年ノーベル賞候補としてメディアでたびたび名の挙がる小説家の村上春樹さんが、一時期設置された「村上さんのところ」という特設サイトで、推薦された過去もあります。

孫引きになりますが、こちらのサイトから引用します。「村上さんのところ」は読者の質問に村上春樹さんが回答するというもの。

★質問 仮定法現在と仮定法過去の使い分けができません。英語話者の人たちはどうやって区別しているのでしょうか? (コマさん、男性、16歳、学生)

 

★回答 仮定法の原理についてここで説明するわけにはいきません。申し訳ありませんが、ちょっと暇がないんです。『表現のための実践ロイヤル英文法』(綿貫陽、マーク・ピーターセン著・旺文社)は優れた本です(無人島に持っていってもいいくらいです)。これを読むと仮定法の細かいニュアンスが理解できると思いますよ。読んで理解してください。仮定法はとても大事です。しっかりマスターしてくださいね。村上春樹拝