今日头条(中国)というアプリの艺述史というチャンネルで、三国時代の諸葛亮孔明の死因について解説した動画を見ました。
諸葛亮孔明といえば、三顧の礼によって劉備玄徳の軍師となり、彼を流浪の身から一国の主にまで登らしめた天才軍師として三国志演義で描かれる人物です。
皇族の末裔で自分よりはるかに年上の玄徳に呼び鈴を三回も押させる(三顧の礼)孔明ですが、忠義に厚く、智謀に非常に優れた人物です。
しかし、その孔明は、わずか53年生きて戦場でその生涯を閉じます。
『三国志』の登場人物の平均寿命がおよそ60歳弱といいますから、当時としても比較的短命だったといえます。
一般的には、その死因は過労と考えられていますが、具体的にどのような病気で亡くなったのでしょうか?
動画では、孔明の多忙ぶりが語られています。
彼は軍中の大事から小事に至るまで、自ら関与します。
具体的には、自ら戦場において指揮を執り、軍を率いて辺境での反乱を平定し、また敵陣に入り交渉をしています。
北伐を続ける中、生前には自分の死後のことも考えておく必要がありました。
三国志演義では、
孔明食少事烦,命不久矣。
孔明は食が細く、やる事も多く、長くは生きられんな。
と敵国、魏の司馬懿に言わしめています。
実際、孔明はしばしば喀血をし、また食欲不振の症状がありました。
そして、孔明自身も何らかの持病を患っていることを自覚していました。
そこから、動画では、彼の死因はおそらく胃潰瘍か、その類の病気であったのではないかと推測しています。
もちろん、推測なので、本当の死因は定かではありませんが、彼の行動や症状からみてこの辺りが妥当な結論なのではないでしょうか。
ちなみに、胃潰瘍で命を落とした日本人といえば、夏目漱石が有名です。
漱石の処女作『吾輩は猫である』に登場する英語教師の苦沙弥先生は、胃弱という設定ですが、彼は漱石自身がモデルといわれています。
ただし、苦沙弥先生は孔明と違い、胃弱であるにも関わらず大食いです。
彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色を帯びて弾力のない不活溌な徴候をあらわしている。 その癖に大飯を食う。大飯を食った後あとでタカジヤスターゼを飲む。飲んだ後で書物をひろげる。二三ページ読むと眠くなる。涎を本の上へ垂らす。 これが彼の毎夜繰り返す日課である。
(『吾輩は猫である』夏目漱石)
一生に一度は読みたい三国志本
日本では、三国志というと横山光輝の漫画『三国志』や吉川英治の小説『三国志』、あるいは三国志関連のゲームを思い浮かべる人がほとんどです。
しかし、これらの作品群の元にあるのは中国の四大名著(あるいは四大奇書)の一つ『三国志演義』です。
古典で長大な作品なので、読み通すのは大変ですが、この作品を読めば、本場の中国においても、真に三国志を読んだと胸を張って言うことができますね。
もっといえば、『正史 三国志』というオフィシャルな中国の歴史書がありますが、ここまで手を伸ばせば、もはや三国志オタクと言えるでしょう。
参考:今日头条「艺述史 【诸葛亮得了什么病?七星灯都难以续命,放在现代能有救吗?】」