対流混合層の特徴を超わかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】

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『イラスト図解 よくわかる気象学』(中島俊夫著)を使って気象予報士試験対策をしています。

今回は、対流混合層について学びました。

対流混合層とは? 

地上0mから高度約1kmの空気の層を大気境界層といいますが、それは三つに分けることができます。

対流混合層は、以下に示したように、地上から二番目の層です。

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対流混合層の特徴 

対流混合層では、下層部が接地層の空気によって温められます。そのため、下層が暖かく上層が冷たいという、不安定な状態となります。

空気が不安定な状態になると、下の暖かい空気と上の冷たい空気が入れ替わろうとします。そのときに生じる空気の流れが対流でした。

この対流によって、対流混合層の空気がかき混ぜられます。ゆえに、対流混合層内の温位、風速、混合比がほぼ一定となります。

ちなみに

温位は、ある高さにある空気を1000hPa(地上)まで乾燥断熱変化(100mごとに1℃変化)させたときの絶対温度のことでした。つまり、温位とは、その空気が「もし地上にあったら」の絶対温度のことです。詳しくは以下の記事へ。

温位とは?超わかりやすく簡単に解説【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記

混合比は、空気中に含まれる水蒸気の質量と、その空気から水蒸気を抜いた乾燥空気の質量の比でした。 詳しくは以下の記事へ。

混合比と比湿の違いは缶ジュースで簡単に理解できる【気象予報士試験対策】 - 根性による3ヶ国語学習者の日記

なぜ温位が一定だと、乾燥断熱変化だといえるのか? 

対流混合層では温位が一定なので、その空気の温度変化は100mにつき1℃です。つまり、乾燥断熱変化になります。

なぜ温位が一定だと乾燥断熱変化なのかというと、温位は湿潤断熱変化だと保存されません(変化する)が、乾燥断熱変化だと保存される(変化しない)からです。

湿潤断熱変化では温位は保存されない

湿潤断熱変化の場合の温位を考えてみます。

地上にある空気の温度が20℃だとすると、この温位は293Kです。

次に、この20℃の空気を高度1kmまで湿潤断熱変化(100mにつき0.5℃変化)させます。

するとこの空気の温度は15℃になります。

さて、この高度1km、15℃の空気の温位はいくらでしょうか?

温位の求め方に従い、地上まで乾燥断熱変化させると、温度は25℃になり、絶対温度にすると298Kです。

最初の湿潤断熱変化(100mにつき0.5℃変化)と温位を出すときの乾燥断熱変化(100mにつき1℃変化)の割合の差によって5Kの差ができました。

このことからわかるように、湿潤断熱変化では温位は保存されません。

乾燥断熱変化では温位は保存される

では、乾燥断熱変化の場合はどうでしょうか?

上と同じく、地上にある空気の温度が20℃だとすると、この温位は293Kです。

この空気を高度1kmまで乾燥断熱変化(100mにつき1℃)させると、10℃になります。

ではこの高度1km、10℃の空気の温位はいくらでしょうか?

温位の求め方に従い、この空気を地上まで乾燥断熱変化させます。すると温度は20℃になり、これを絶対温度にすると293Kです。

この293Kは最初に地上にあった空気の絶対温度と同じであり、乾燥断熱変化では温位が保存されていることがわかります。

このことから、対流混合層では温位が一定なので、温度変化は、湿潤断熱変化ではなく、乾燥断熱変化だといえるのです。

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