華流ドラマ『蘭陵王』第11話の感想と豆知識~周と斉の内患の解決策の共通点~

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『蘭陵王』の第11話を観ました。

周は国内問題ゆえに斉に戦(いくさ)で敗れましたが、斉は戦で周に勝ったがゆえに国内問題が激化してゆきます。

国家統治の永遠のテーマー内患と外患ー

中国の歴史ではたびたび、内患(ないかん)と外患(がいかん)の解決のどちらを優先すべきかが問題になります。

内患は国内の心配事、外患は対外的な心配事です。

このドラマにおいて外患は、斉にとっては周、周にとっては斉です。今回は、それぞれの内患を中心に描かれます。

皇帝宇文邕と大宰相宇文護の対立という周の内患

皇帝宇文邕にとって目の上の瘤(こぶ)なのが、大宰相の宇文護です。宇文護は皇帝の臣下の身でありながら、その権勢は皇帝の宇文邕を凌ぎます。

宇文邕は、この宇文護を監視するため、玉兎(ぎょくと)という名の異民族の女を彼に与えます。

宇文邕の「監視」という真の狙いをあっさり見抜いてしまうのが、宇文護です。

蘭陵王高長恭と太子高緯の不和という斉の内患

斉の内患は、蘭陵王高長恭と太子高緯の不和です。

将来の皇帝である高緯が無能である一方で、高長恭は邙山の戦いで大活躍をし、飛ぶ鳥を落とす勢いです。この状況に不満な高緯、祖珽、胡皇后らは、高長恭に女を娶らせて、雪舞と彼の中を引き裂こうと企てます。

高長恭の活躍は、天女雪舞の助けによるところが大きいからです。

権力闘争の道具にされる女

「女」を手段として利用するのが、周と斉の内患解決策の共通点です。

女性が権力闘争の手段とされるのは、歴史上珍しくありません。有名なのが、物語『三国志』における、貂蝉(ちょうせん)という名の美女を利用した連環計(れんかんのけい)です。フィクションですが、男がいかに美女に脆いかが再確認できます。

玉兎という美女に理性を失わなかった宇文護は、侮れません。

もっと知りたい人のための本

蘭陵王を扱った小説には、田中芳樹の『蘭陵王』があります。

蘭陵王の生きた時代は中国の南北朝時代。時代背景を知りたいなら、『魏晋南北朝 融合する文明』や『魏晋南北朝』あたりがいいかもしれません。