華流ドラマ『蘭陵王』第10話の感想と豆知識~ドラマのネタばらしする楊林氏~

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『蘭陵王』の第10話を観ました。

宇文邕は負けて悔しいし、雪舞は祖母の言いつけに反して高長恭といるのが辛いし、太子高緯は高長恭が妬ましいし、高長恭は高長恭でちやほやされ過ぎて居心地が悪そうです。主要人物が総じて不幸な回です。

おばあちゃんの言いなりの雪舞

冒頭、夢の中で、舞雪は「蘭陵王の死は定め。彼を愛してはならぬ」というようなことを祖母の楊林氏から言われます。するとその朝には、前日とは打って変わって高長恭に対して冷たくなります。また、恩返しに関することなど、彼女は楊林氏の言葉に囚われがちです。彼女はまだ、精神的におばあちゃんから独立できていません。

ドラマのネタばらしする楊林氏

楊林氏は同シーンで、高長恭が邙山の戦いに勝利して主君の妬みを買い死ぬ運命にあると、思いっきりドラマのネタばらします。雪舞も「ちょ、言わんとって」みたいな表情になります。でも、楊林氏の言葉は、高長恭の生涯を簡潔に言い表していると思います。結局、「出る杭」として「打たれた」のが、高長恭でした。

兵士のモチベは超重要

負けた周の皇帝宇文邕は、「兵士の士気を取り戻す」などと言って庫西(溪)莫族(こさいばくぞく)の集落を襲わせます。「視聴率を取り戻す」というのが実際のところなのかなと思いつつ、乱世の時代にはこういう手荒なことも止むを得ないのかもとも考えまた。

大事と小事、一体どっちが大事か

集落の襲撃で株がだだ下がりの宇文邕ですが、すかさず株の買い支えが入ります。その集落の女、玉兎(ぎょくと)に、自分は民が飢えず幸せに暮らせる大平の世を創るのだと彼は語るのです。天下太平という大事のために小事を踏み潰す、というのは歴史ドラマではよくあります。皇帝が小事に拘りすぎるとだいたい有能な臣下に諌められます。

広島の厳島神社で披露される『蘭陵王入陣曲』

この回で登場する『蘭陵王入陣曲』は、今でも広島にある厳島神社で鑑賞することができます。この舞は、日本では奈良時代にはすでに伝わっていたとされます。紫式部の『源氏物語』では、この蘭陵王の舞が舞われるシーンも登場します。高長恭って意外に日本と縁が深いんですね。

もっと知りたい人のための本

蘭陵王を扱った小説には、田中芳樹の『蘭陵王』があります。

蘭陵王の生きた時代は中国の南北朝時代。時代背景を知りたいなら、『魏晋南北朝 融合する文明』や『魏晋南北朝』あたりがいいかもしれません。