華流ドラマ『蘭陵王』第9話の感想と豆知識~内緒の出陣をチクられた皇帝宇文邕~

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『蘭陵王』の第9話を観ました。

蘭陵王に関して最も有名な「仮面を脱いで城門を開けさせる」お話が描かれます。蘭陵王の物語において、必見の回ですね。

内緒の出陣をチクられた皇帝宇文邕

数の上で圧倒的だった宇文邕(うぶんよう)が、小勢の高長恭に負けました。その最も大きな要因は、宇文邕が内密で出陣したことを、斉によって、周の実質的な親玉宇文護(うぶんご)に、チクられたからでした。このため周軍は撤退を余儀なくされました。その際に宇文邕は、吐き捨てます。

蘭陵王 朕はおぬしに負けたのではない 宇文護に負けたのだ

愉快で役立つ離間策

これは離間策(りかんさく)といって、相手の仲を切り裂き、物事をこちらに有利に運ぶ戦術です。例えば、男が浮気をしているという噂を流してカップルの仲が邪険になっているところに、その男の女に甘い言葉を浴びせて我が物にする、というような策です。対象となる仲、手段は色々ですが、こうした離間策は、『三国志』で堪能できます。

極めてセクシーに仮面を脱ぐ高長恭

高長恭が仮面を脱いで城門を開けさせたシーンは、史書にも記録されています。ただし、脱いだのは鬼の仮面ではおそらくなく、兜(かぶと)の類です。そのことをわざわざ史書に記録したのは、それなりに理由があったのでしょう。もし高長恭がオッサンであたふた兜を脱いでいたら、記録されていなかった思います。

高長恭の母は卑しい身分? 

最後のシーンで、高長恭は自分の母が「流浪の民」で「妓女」であると述懐します。実際、史実上もその可能性が高く、兄弟の中で高長恭の母だけがその姓名が不明です(

高長恭 - Wikipedia参照)。同じく最後のシーンで、高長恭が一人の女性を愛する一途な男ということになっていますが、これも「軍功を称えて武成帝から20人の美女を賜ったとき、1人だけ選んで辞退した」(同サイトより)という記録が残っています。

「愛してる」とは言わない高長恭と雪舞 

高長恭と雪舞の2人は、お互いに命を救い合い、恋愛関係として発展しておかしくないですが、なぜかそうなりません。2人でイイ感じになった最後のシーンでも、雪舞が高長恭に与える言葉は「愛してる」ではありません。

あなたが手にしているのは わたしからの尊敬と崇拝よ

夏目漱石の『こころ』に、

本当の愛は宗教心とそう違ったものではないということを堅く信じているのです。

という言葉がありますが、すでに好きすぎて愛は宗教心に変貌しているのでしょうか?

もっと知りたい人のための本

蘭陵王を扱った小説には、田中芳樹の『蘭陵王』があります。

蘭陵王の生きた時代は中国の南北朝時代。時代背景を知りたいなら、『魏晋南北朝 融合する文明』や『魏晋南北朝』あたりがいいかもしれません。