『源氏物語』読書マラソン20〜女評論家、頭中将の批評〜

スポンサーリンク

『源氏物語』読書マラソン19。

大塚ひかり訳『源氏物語』のP65〜69まで読み進めました。前回の続きとして紹介記事を書いていきます(斜体のところは引用です)。

ではどうぞ。

 

しとしとと宵の雨が降る中、頭中将(とうのちゅうじょう)が、源氏の女からの手紙を物色し、あれこれ言っています。

源氏「差し支えないのだけな」

頭中将「いや、差し支えがあるのこそおもろいねん、めせて」

今で言えば、友人のLINEやメールの過去のやりとりを見て「ぐふふふふふ」とか言ってるノリですね。

とかやってる間に、頭中将のイイ女論が始まります。

彼は、親友相手ということも大きいでしょうが、なかなか口が立つようです。源氏物語っぽくない、非情緒的な語りで、女性を三つに分類して自らの分析結果を語ります。

彼によれば、

上流階級の女・・・ちやほやされ、周りが欠点を隠して良いところを声高に宣伝するから、実際付き合ってみると期待はずれなことが多い。

中流階級・・・この階級の女性こそ、その性格や個性がよくわかる。

下流階級・・・知らん。

ということらしい。

マグロ的に言えば、大トロは脂が多すぎてマグロの味がようわからけど、中トロは味がようわかる、赤みは知らん、ということですね。

そして、「これは」と思えるような素晴らしい女はめったにいない、と。

確かにと、思う部分もあるものの、「うっせーな」と思わないでもありません。彼の話は理知的で、わかりやすいですが、安易に一般論化しすぎているようにも思えます。しかし、彼の実感としてはそうなのでしょう。

と、そんなイイ女論を展開しているところへ、同じく女好きで口の立つ左馬頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)がやって来ます。

 

読み進めているのは、古典エッセイストの大塚ひかりさんが訳された『源氏物語』です。いくつもある源氏物語の日本語訳の中でも特に現代的な訳で、かなり読みやすいのでおすすめ。