『源氏物語』読書マラソン19。
大塚ひかり訳『源氏物語』のP65〜69まで読み進めました。前回の続きとして紹介記事を書いていきます(斜体のところは引用です)。
ではどうぞ。
しとしとと宵の雨が降る中、頭中将(とうのちゅうじょう)が、源氏の女からの手紙を物色し、あれこれ言っています。
源氏「差し支えないのだけな」
頭中将「いや、差し支えがあるのこそおもろいねん、めせて」
今で言えば、友人のLINEやメールの過去のやりとりを見て「ぐふふふふふ」とか言ってるノリですね。
とかやってる間に、頭中将のイイ女論が始まります。
彼は、親友相手ということも大きいでしょうが、なかなか口が立つようです。源氏物語っぽくない、非情緒的な語りで、女性を三つに分類して自らの分析結果を語ります。
彼によれば、
上流階級の女・・・ちやほやされ、周りが欠点を隠して良いところを声高に宣伝するから、実際付き合ってみると期待はずれなことが多い。
中流階級・・・この階級の女性こそ、その性格や個性がよくわかる。
下流階級・・・知らん。
ということらしい。
マグロ的に言えば、大トロは脂が多すぎてマグロの味がようわからけど、中トロは味がようわかる、赤みは知らん、ということですね。
そして、「これは」と思えるような素晴らしい女はめったにいない、と。
確かにと、思う部分もあるものの、「うっせーな」と思わないでもありません。彼の話は理知的で、わかりやすいですが、安易に一般論化しすぎているようにも思えます。しかし、彼の実感としてはそうなのでしょう。
と、そんなイイ女論を展開しているところへ、同じく女好きで口の立つ左馬頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)がやって来ます。
読み進めているのは、古典エッセイストの大塚ひかりさんが訳された『源氏物語』です。いくつもある源氏物語の日本語訳の中でも特に現代的な訳で、かなり読みやすいのでおすすめ。