『源氏物語』読書マラソン14〜弘徽殿女御を差し置いて幸せな親子関係を築こうとするミカド〜

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『源氏物語』読書マラソン14。

大塚ひかり訳『源氏物語』のP51〜53まで読み進めました。前回の続きとして紹介記事を書いていきます(斜体のところは引用です)。

ではどうぞ。

 

源氏の君は、つねにミカドの側を離れることなく、ミカドのお妃通いにもくっ付いていきます。

その妃(きさき)にはもちろん藤壺(ふじつぼ)も含まれ、自然、源氏の君はその姿を目にすることになります。

ミカド付きの典侍(ないしのすけ)が「(源氏の君の母に)とてもよく似ていらっしゃいます」と言えば、彼の心は、母桐壺の記憶がないにも関わらず、震えます。

幻のかあちゃんが、今、目の前に・・・

いつも藤壺のもとに行きたい、もっとおそばで親しくお会いしたいものだ

と、彼は思います。

彼が藤壺と、もっとおそばで親しくなりすぎるのは、また後のことです。

一方のミカドも、源氏の君と藤壺が、もっとおそばで親しくなるよう、頑張ります。

この子によそよそしくしないでほしい。なぜか、あなたをこの子の母に見立ててみたい気がする。無礼な者と思わずに可愛がってください。この子と亡き母は頰のあたりや目元などはとてもよく似ているのだから、あなたがこの子の母のように見えても不似合いではないと思う

オモロないと思うのが、弘徽殿女御(こきでんのにょうご)です。 

ミカドの愛を奪っていった桐壺更衣(きりつぼこうい)が消えたと思ったら、桐壺更衣そっくりさんが現れて、ミカドの愛はあっちへいったまま戻ってこない。

「ちっ、ミカドの愛なんかそっくりそのままくれてやるわっ!」と、開き直ることもできず、例により、「不愉快な」と、憎きムードの弘徽殿なのでした。

 

読み進めているのは、古典エッセイストの大塚ひかりさんが訳された『源氏物語』です。いくつもある源氏物語の日本語訳の中でも特に現代的な訳で、かなり読みやすいのでおすすめ。