『源氏物語』読書マラソン11〜東宮の決定と完全無欠の若宮〜

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『源氏物語』読書マラソン11。

大塚ひかり訳『源氏物語』のP44〜46まで読み進めました。前回の続きとして紹介記事を書いていきます(斜体のところは引用です)。

ではどうぞ。

 

今回は、主に三つのことが描かれます。

・第一皇子(弘徽殿女御(こきでんのにょうご)の子)が東宮に確定

・桐壺更衣(きりつぼこうい)の母(若宮の祖母)が亡くなる

・容姿最高、勉強も音楽もデキる若宮(ミカドと桐壺更衣の子。光源氏。)

ミカドは、相当に若宮を東宮にしたかったようですが、世論に配慮して、結局は第一皇子に後を継がせることにします。ホッとする第一皇子の母弘徽殿。勝気で辛辣な弘徽殿もこの時なら「おい、ブス」と面と向かって言っても怒らなかったでしょう。 

ここでちょっと面白いのが、ミカドが世間の目を気にして自分の望みを押し通さなかったことですね。ミカドとて何でも自分の好きなように決められるわけではなく、空気を読んだり、色々と窮屈なようです。

第一皇子が東宮に決まると、若宮の祖母(桐壺更衣の母)は気落ちして、やがて亡くなってしまいます。例によってミカドは悲しみに沈み、六歳になる若宮は泣きます。源氏パターンから考えてここで誰かが和歌を読むのかと思いきや、さらっと次のお話に移ります。

その次のお話というのは、いかに若宮(光源氏)が素晴らしいかということ。例によって北朝鮮式の無欠描写が続いていきます。

漢籍の勉強をさせてみても恐ろしいほどに聡明で賢く、見ればどんな人も微笑ませる容姿で、あの弘徽殿でさえ拒否れず、琴や笛の音(ね)にしても・・・要するに、若宮は非の打ち所がないということです。御簾(みす)にくるまって宮中を転げ回るようなことも、たぶんしないタイプ。

さて、この完全無欠の若宮、一体どんな大人に育っていくのでしょうか。

 

読み進めているのは、古典エッセイストの大塚ひかりさんが訳された『源氏物語』です。いくつもある源氏物語の日本語訳の中でも特に現代的な訳で、かなり読みやすいのでおすすめ。