「英語がペラペラ」の理想と現実

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「英語ペラペラ」

誰ですか、こんな人を惑わすフレーズを使い出したのは、

というのが、今日のテーマです。

「ペラペラ」という言葉は今や、商品名に添えられる「プレミア」と同じように、とりあえず添えておけばなんかいい感じになる、都合のよい枕詞のように乱用されています。

まさに魔法の言葉で、他のワードを「外国語+ペラペラ」で修飾してあげれば、それだけで飛躍的なイメージアップが出来てしまいます。例えば、

・英語ペラペラのビジネスマン

・英語ペラペラの俳優

・ドイツ語ペラペラのタクシー運転手

・フランス語ペラペラのひよこ鑑定士

・アラビア語ペラペラの里芋農家

・ロシア語ペラペラのニート

・中国語ペラペラのフレンチシェフ

例外はあるかもしれませんが、だいたいイメージアップにつながることがわかると思います。

んが、この「イメージアップ」は諸刃の剣です。

アップしたイメージに実態が伴っているなら素晴らしいことですが、イメージだけが一人歩きしている場合、誤解を招き、人を失望させることになるからです。

例えば、

A氏「君にプレミアム上司をつけておいたよ」

B子「えー、ほんとですか!うれしい〜」

と喜んでいたところ、会ってみればどこがプレミアムなんだろう、プレミアムどころかどこか悲壮感が漂ってる、なんてことになれば、期待していただけに失望も大きいですし、ひどければ少しだけ自分の人生が失われた気分になるかもしれません。

さて、「ペラペラ」に話を戻すと、世間で言われる「ペラペラ」というのはたいていの場合が嘘です。 

より具体的に言えば、普通の人が「ペラペラ」という言葉から抱くイメージとその実態との間には相当な乖離があります。

普通の人が抱くイメージはおそらく、

母語のように、いかなるトピックについても、なんの苦もなくしゃべれる。そこに一抹の悩みも雑念もない。相手の言ったことは、春の鶯の鳴き声のように、まっすぐと耳と心に届き、理解される。 

といった具合だと思います。

ところが、 語学力というのは、ほとんどの場合、母語に比して、かなり限定的なもの。たとえ長年、仕事で使ってきたとしても、上記のようなイメージに到達することは相当に困難です。

いや、そんなはずはない、カフェのテラスで春のそよ風のようにさわやかに英語で談笑をしている日本人と外国人のビジネスマンを見かけたことがある、という方もいるかもしれません。

しかし、そこにも裏があって、その実態は、相手の英語が聞き取れないことも多いけれど、そのあたりは推測と想像で補っている、

スピーキングに関しては、自分の知っている英語表現の中で適当にお茶を濁しながら、限定的に話している、という具合のはずです。

それをはたから、語学力の持たない人が見ると「ペラペラ」に見えるのです。

決してあらゆるトピックについて、母語を使うときのように英語で語れるわけではない。

なので、その日本人に、英語で「過呼吸」ってどう言うの、「つわり」ってどう言うの、「めかぶ」ってどう言うの、「爪の甘皮」ってどう言うの、「確定申告」ってどう言うの、「へその緒」ってどう言うの、「初期微動継続時間」ってどう言うの、と尋ねた場合、明確な答えが返ってくることはあまり期待できません。

八歳から数十年英語圏で過ごしてきた、という方なら、あるいは相当な範囲で答えられるかもしれませんが、ほとんどの人にとってはまず無理だろうと思います。 

イメージとしては次のような感じ。

お医者さんがすべての病気とその治療に精通しているわけではないように、あるいは、お弁護士さんがすべての法律とその解釈を熟知しているわけではないように、一見「ペラペラ」に思われる人が、縦横無尽にその外国語でコミュニケーションがとれるわけではい・・・

「お天気」についてペラペラとしゃべれても「カレーの作り方」についてはペラペラとしゃべれるとは限らない・・・

夢が壊れるようですが、これが「ペラペラ」のたいていの場合の実態なのです。 

ということを踏まえると、安易に「ペラペラ」を振り回すのは慎みたいところですね。いや、その限定的な会話力のことを「ペラペラ」と言っているのだよ、と言われれば、あ、はい、そうですか、それはとんだ誤解を・・・と引き下がるしかないわけですが。

ついでながら、本の紹介です。

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