日本のある歌が12年の時を経て中国で大ヒット
日本のある歌が12年越しに中国で大流行しています!
音楽ユニット、ラムジのPLANETという曲。
ラムジはボーカル担当の山下祐樹氏とギター担当の井上慎二郎氏のコンビですが、残念ながら2013年に解散してしまいました。
中国版ツイッターとも呼ばれるウェイボーの口コミにより、人気に火が着いていったとか。
12年越しにヒットするなんて、ネット時代、何が起こるかわからないですね。
日本人が聴いてみた感想
んで、さっそく聴いてみたのですが・・・
まあ、わるくはない。
んがしかし、大ヒットした曲として聴いてみるといまいちピンとこない、というのが正直な感想。
大学の軽音サークルの黒髪長髪の優しめの草食系男子が肩を低く垂れながらけだるく歌ってそうな曲・・・とかそんなひどいことは言わないですが、少なくとも一度聴いて胸にズキューンと突き刺さるというものでもない。
ただローテンション、スローテンポの中にある種の中毒性がないこともなく、歌詞に出てくる惑星と太陽のイメージは印象的です。
中国人が聴いてみた感想
この曲を紹介してくれた中国の知り合いによれば、メロディーが清脆(チンツウェイ)で良いとのこと。
清脆(チンツウェイ)とは、声や音などが「澄んでいて耳に心地よい」という意味。
要するに、黒髪長髪の優しめの草食系男子の声ですよね。
でもチンツウェイな歌っていくらでもあるし、中国でヒットした理由としていまいちピンとこなかったです。
中国の伝統に見事に適合した歌詞
んで聴きながらよくよく考えてみたのですが、突如「はっ」としたんですよね。
なんと中国的な歌詞だろうと。
PLANETの歌詞は、「僕」を「惑星」、「君」を「太陽」に喩(たと)えて、「惑星」と「太陽」が「サヨナラ」する悲しみを歌ったもの。
惑星は、恒星(太陽)の周りをまわっている星のことです。
どこが中国的かというと、「僕」を直接「惑星」に置き換え、「君」を直接「太陽」に置き換えているところ。
つまり、隠喩(メタファー)のがっつり効いた歌なのです。
※隠喩(メタファー)とは、「〜のよう」、「〜のごとし」といったたとえの明示を行わないたとえ表現のこと。
中国は伝統的に、物事を説くときに隠喩で表現することが大好きです。 相手を納得させるために、とにかく隠喩を多用します。
例えば、明代(1368〜1644)に書かれた歴史小説『三国志演技』。そこから一節引用してみます。
仄聞(そくぶん)するところによれば、天下が混乱してやまないのは、すべて宦官の張譲(ちょうじょう)らが、君臣の道をないがしろにしているのが原因の由。湯の沸騰を止めるには釜をはずすより、薪(たきぎ)を除くに越したことがなく、癰(できもの)をつぶすと痛いけれども、毒を残しておくよりはましだと申します。
(井波律子訳『三国志演義』より。強調は当ブログ)
「天下の混乱」 を「湯の沸騰」、宦官の張譲の横暴を「薪(たきぎ)」に置き換えています。
こうした隠喩を活用して物事を説く例は、中国の歴史上、数えきれないほど見受けられるんですね。
かつて英語教師をしていた小説家の夏目漱石は、授業で出てきた英文「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したエピソードは有名ですが、これも漢文の素養があったゆえのことかもしれません。
中国人の心をつかむコツは隠喩(メタファー)
直喩(メタファー)は中国の伝統に深く根ざしています。中国人の心をつかみたいなら、ぜひとも使ってみましょう。
君はごきぶりホイホイ、僕はごきぶり、もう君からは離れられないんだ。
これでもう相手はいちころまちがいない!(*/ω\*)
ごきぶりホイホイ知らなかったら意味ないですが。