社会人向け日本史の勉強法〜レベル別〜

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今日は日本史の勉強法の紹介です。

以前、通訳案内士試験の対策として、また、単に歴史の素養が欲しかったこともあり、日本史の勉強にのめり込んでいた時期がありました。その時の経験を元に、日本史の勉強方法を、求めるレベル別、目的別で紹介しようと思います。

まずは、ファーストステップ、レベル1から。

日本史レベル1〜知らないと恥をかく常識編(最重要)〜

まずは、小学校から中学校にかけて学ぶ、日本史の基礎知識の習得です。日本史の大きな流れをつかむ、ということでもあります。この目的を、無駄なく効率的に達成するのにおすすめなのが、この漫画です。

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全15巻定番セット

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全15巻定番セット

 

 

 マンガ・・・

 

はっはっはっ、笑わせてくれるなこの腐れブロガー、俺は(わたしは)マンガで楽して日本史を学ぼうと思うほど落ちぶれてはいないし、字だけの本でも読めるんじゃ、だからもっと本棚の見栄えの良くなる高尚な本を教えてくれ。

と、思われる方もいると思います。筆者も買う前は「この歳になって歴史マンガだなんて・・・こんなもん7、8歳の子が寝転んでポテチでも食いながら読むもんちゃうんか、わいはかつて毎日いやいや何のために学校に通ってたんや、また太るやんけ」と思いました。

が、読んでみて、驚愕。

めっちゃレベル高い・・・(゚ロ゚;) 

具体的には次の3点が、優れています。

1. 重要な基礎事項は網羅されている

マンガゆえに読む前は、「さらっと読んで日本史の上澄みの知識」が身に付くくらいかな、と漠然と思っていました。しかし実際はその反対で、情報量が多く、骨太です。正直、小学校、中学校の日本史の定期テストなら、このシリーズを繰り返し読んでおくだけで、そこそこの点数取れるんじゃないの、と思いました。例えば、1922年のワシントン会議で取り決められた各国の主力艦の保有割合、なんてところまで記述されています。

2. 因果関係が理解できる

マンガ、つまりストーリー形式なので、因果関係が非常によく理解できます。学校で使う教科書は、先生の講義がある前提で書かれているものなので、因果関係が分かりにくい記述も多く、先生のいない社会人の独学にはあまり向きません。

しかし、マンガは自己完結的な物語ゆえ、因果関係を端折ったり、ごまかしたりはできず、きっちり描かれるので、ふむふむと内容を腑に落としながら読み進めていくことができます。そういう意味で、読んでいてストレスを感じさせません。

例えば、「A子は夫と別れ、家を建てた」という記述しかないと、「おいおい、なんで夫と別れたら家建つねん」と、貧乏ゆすりしたい気分になります。しかし、「A子は夫と別れ、慰謝料数千万円が手に入ったので、嬉しくなってついマイホームを買ってしまった」という流れになっていたら、納得もするし、記憶にも残りますよね。

これがストーリーの強みです。

3. 大きな流れをつかむことができる

歴史の勉強で一番やってはいけないのが、細かい瑣末な事項から覚えようとすること。細かい知識は量が膨大なので、そこから始めると、ざっくりながらも日本史が理解できた、という実感を得る前に、挫折してしまいます。

ヘアーカットで、まずざっくり切って後から細かな調整をしていくように、まず大きな流れをつかみ、それから細かい事項を覚える、というやり方が断然に効率的です。

細かい出来事の背景には、その時々の経済情勢、政治情勢、広く社会情勢がありますから、そうした背景をつかんでおくと、細かい出来事が起こった理由もよく理解できます。

そして、その「大きな流れ」というのは、より具体的に言うと、「重要な基礎事項」を「因果関係」で結びあわせた、一連の知識です。 

 

 以下の対策に有効 

・ 小学校、中学校、高校の定期テストおよび大学受験の基礎固め 

いわゆる定期テストでよく問われるような、基礎事項は本書だけでも十分に習得できます。むしろ学校でダラダラ、イヤイヤ学ぶより、このシリーズを暇な時に通読してる方が面白いし、歴史の素養が身に付くのではないかと思うほど。

大学受験とはいっても、細かい応用的な知識ばかりが問われるわけではなく、小学校、中学校レベルの基礎的な事項も多々問われるので、基礎固めとして有効です。東大の日本史の記述問題にしても、難関私立の穴埋めにしても、基礎知識をマスターし、大きな流れをつかんでおくことは、絶対に必要。

・企業の採用試験、行政書士試験等、各種試験で問われる一般常識、一般教養としての日本史

教養としての日本史なら、本書で必要十分。一般の成人で、本書に描かれていることをきっちり身に付けている人なんて10人に1人もいないと思います。逆に言えば、これだけのことを覚えておけば、かなりの教養人です。

大化の改新の始まりとなる暗殺事件で殺された人物、奈良大仏は何という天皇の元でどういう目的をもって造られたか、関ヶ原の戦いに勝利して江戸幕府を開いた人物、明治維新ではどのような改革が行われたか、日露戦争後になぜ暴動が起こったのか・・・、日本史の基本の「き」ですが、どれだけの人がぱぱっと即答できるでしょうか。

基礎知識をあなどってはいけません。

・通訳案内士試験の日本史

問われるレベルは上の二つと大差はないのですが、個人的に思い入れがあるので、別にしました。

通訳案内士試験の日本史はだいたいセンター試験レベルなので、基礎をしっかり固めておけばOK。ただ注意すべきは、やや文化史の出題の比率が大きいので、文化史だけは別に、それ専門の参考書で勉強しておくことをおすすめします。

また、通訳案内士は外国語で日本を紹介する仕事なので、試験にすでに合格されている方でも、読むと色々役立ち、参考になるだろうと思います。

 

ちなみに本書はKindle版も出てますね〜

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 (1) 日本のはじまり 旧石器~縄文・弥生~古墳時代

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 (1) 日本のはじまり 旧石器~縄文・弥生~古墳時代

 

 日本史レベル2〜受験とは無縁の一般人としてはマニアの領域(学者振れる)〜

レベルとしては、大学受験の基礎〜難関の日本史知識です。つまり、高校教育で習うことですから、歴史家の人からみれば歴史の目次程度のレベルなのかもしれません。しかし、受験とは無縁となった一般人にとっては、もはやかなり高度な専門知識です。

そうした知識を独学するのに適しているのが、これ。

これならわかる!ナビゲーター日本史B 1 原始・古代~南北朝

これならわかる!ナビゲーター日本史B 1 原始・古代~南北朝

 

多くの日本の高校で採用されている日本史教科書を出している山川出版社による一般向けの書籍です。

本書は一言でいえば、「高校の日本史教科書を、先生の解説なしに理解できる、つまり独学できるものにしたもの」です。

先に書いたように、教科書は先生の講義がある前提で書かれているので、因果関係がざっくり一言でしか書かれていなかったりして、社会人の独学には向きません。しかし、本書は、先生の補助説明がなくとも理解できるくらい丁寧な解説がほどこされています。ゆえに、シリーズで4分冊になっており、1冊だけで高校生が使う日本史の教科書ほどの厚みがあります。

4分冊で分量、ページ数は多いですが、それも丁寧な解説ゆえなので、読んで理解でき、それほど大きなストレスにはなりません。ちょうど池上彰さんの著書のような感じ。

 例えば、厩戸王(聖徳太子)の憲法十七条に関する記述だと、こんな感じですね。

「第2として、604年、厩戸王は憲法十七条を制定し、豪族たちに国家の役人として政務にあたるうえでの心構えを示しました。いわば、現代でいう国家公務員法のようなものであり、役人として守るべきことやモラルを植えつけようとしたわけです。」『これならわかる!ナビゲーター日本史B1原始・古代〜南北朝』P73より

この後、憲法十七条の具体的な中身に入り、解説が続きます。

詳しく、わかりやすい。ただ、欠点として、教科書からちょっと力を抜いたくらいで淡々と真面目に説明が続くので、具のないカレーをひたすら食べ続けるような退屈さは、まぁあります。

しかし得られる知識の深さは相当なもの。専門家でない一般人相手だったら、足を組んでオ○パイ揉むような手をしながら、「憲法十七条っていうのは、いわば国家公務員法のようなもので・・・」みたいなことを言って知識人っぽく振る舞うことも可能です。うまくいけば「日本史の神」みたいな扱いを受けるかもしれません。その時は、心の中で、

高校レベルの知識なんだけどね!てへぺろ⭐︎(・ω<)/  

と言いましょう。 

 4分冊はちょっと多い・・・という方は、これ。

もういちど読む山川日本史

もういちど読む山川日本史

 

独学できます。

これもナビゲーターと同じく、高校生が使う日本史教科書を一般向けに編集したような感じ。これ単体で、理解できるような記述になっています。教科書と読み比べてみても、こちらの方が断然にわかりやすかったです。ただ、上のナビゲーター日本史ほど詳しくはなく、ちょうど、教科書とナビゲーターの中間くらいの印象。

わかりやすい順に並べるとこうですね。

1. ナビゲーター日本史

2. もういちど読む山川日本史

3. 高校生が使う日本史教科書

原始時代や古代とかはどうでもええ〜、という方は、次の2冊でOK。

もういちど読む山川日本近代史

もういちど読む山川日本近代史

 

↑は日本の近代史に範囲が絞られ、重点的に解説されたもの。

日本の戦後史(現代史)についても山川出版社から出ていますが、個人的には以下の池上彰さんの書く日本の戦後史をおすすめします。上に挙げた書物ほど「お勉強」という気分にならないからです。

そうだったのか!日本現代史 (集英社文庫)

そうだったのか!日本現代史 (集英社文庫)

 

想定対象者 

以上で紹介した本は、難関私立、国公立を目指す大学受験生、非専門家から「日本史の神」、「日本史オタク」、「学者レベル」と思われたい社会人や専業主婦、ニートその他暇人に最適です。 

日本史レベル3〜もはや日本史仙人〜

ここまで極めると、日曜日に竪穴式住居とか作り出すのではないのでしょうか。

しっかり身に付ければ、日本史専門ライターなどになって、それで飯を食っていくこともできると思います。

日本の歴史〈3〉奈良の都 (中公文庫)

日本の歴史〈3〉奈良の都 (中公文庫)

 

このレベルになると、日本史上のいずれかの時期、人物、制度に専門化し、その専門に関連した本を読んでいくのが普通でしょう。通史の本は限られてくるので。

上のものが、その限られた通史本の1つです(全26巻+別巻1)。1冊1冊が分厚く、上に貼った1冊だけで600ページ近くあり、また1ページ1ページに文字がぎっしり詰まっています。僕も全巻は揃えていません。

細かいエピソードや細かい親族関係、細かい数値や細かい人間関係、とにかく詳しく、詳しく記述されています。特に古代史のあたりを読むと、そんな細かいところまで記録が残っているのかと、驚きます。そんな大昔のことさえこれだけ残るのだから、麻生太郎氏の漢字の読み間違えなんて数千年後でも当たり前のように知れるのではないかと。

1冊読み通すだけでも大変ですが、でも、じっくりゆっくり読めば面白いですよ。例えば、第3巻では、当時の国際結婚に関する記述があったり、高校教育までではまずは知ることのないことが、たくさん盛り込まれています。

通史に関しては、先に紹介したナビゲーターやもういちど読むシリーズまでにして、後は自分の好きな分野や人物に的を絞って読んでいく、というのもありです。日本史本はぼんぼん毎年たくさん出版されていますので。

明治維新という過ち 【改訂増補版】: ?日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト?

明治維新という過ち 【改訂増補版】: ?日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト?

 

本で勉強するのも良いですが、youtubeなどの動画サイトにも、日本史に関する動画がたくさんあるので、そういうものも有効に活用していきましょう。映像やストーリーだと、記憶にも残りやすいです。「日露戦争」、「日中戦争」、「徳川家康」という風な日本史のキーワードで検索すれば、ゴロゴロと面白そうなのが転がっています。

また、日本史上のキーとなる出来事の起こった年代は、語呂合わせなどできっちり覚えておくことを強くおすすめします。でないと、前後関係がよくわからなくなったりします。それに、年代をこまめに覚えておくと、ある事件とある事件が同時期に起こっていることに気づき、ちょっと感動したり、驚いたりという体験もできます。

年代の覚え方は人それぞれですが、やはり語呂合わせが一番記憶に残りやすいと思いますね。

ゴロ合わせについてはネット上にゴロゴロ転がっています(歴史に残るしょうもなさ)。

 

今日は日本史の勉強方法に関する記事でした。

お疲れ様です。