漫画『天上の虹』の感想〜飛鳥時代にトランプしてた中大兄皇子〜

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漫画家・里中満智子の『天上の虹』を読んでいます。飛鳥時代の持統天皇を主人公とした物語です。

本日は663年の白村江(はくそんこう)の戦いを描いた部分を読みました。これは、日本(倭国)が、新羅と唐の連合軍に敗れた戦いとして有名ですね。

面白いと思ったのが、敗戦後の中大兄皇子(なかのおおえのおおじ)の防衛策。今後、新羅と手を組んだ唐が日本に攻めてくるのではないかという危惧から、石づくりの砦(とりで)や水城(水を満たせる掘のようなもの)が築造されます。

「国じゅうを砦にするぐらいの覚悟でとりくまねば」(『天上の虹2』P190より)

と、中大兄皇子。

 「中大兄どのの防衛策はいきすぎではないか」(同P200)

という声があがるほどの勢いです。

よそ者の侵入を食い止めるための大規模な防護壁・・・まさに飛鳥のトランプです。

これは想像ですが、ここまで中大兄皇子がトランプしたのも、フェイクニュースの影響が大きいと思うのですよね。

つまり、当時の中国大陸にあった唐は、確かに倭国に比べて先進的で強大でしたが、伝聞というかたちで唐情報が伝わることで誇張され、余計に「強大」になっていたのではないか、と。

部下「唐という国はまことに強大で、餃子1日100万、いや1000万個とも聞いております」

中大兄皇子「それほんまか?そらえらいなあ」

こうしてフェイクニュースをたびたび聞いているうちに中大兄の脳内で 「唐」という国がどんどん肥大化していき、それによって生じる恐れから彼がトランプ化した可能性があります。

と、冗談はさておき、この『天上の虹』という漫画は日本の古代史を知る上で、非常に便利です。もちろんすべてが史実というわけではないですが、基本的な事項についてはほぼほぼ史実に則して描かれています。

日本の古代史はもともと大好きでしたが、この作品を読んでますますハマりそうです。